著者
ラーマン ムスタフィジュー 山村 健介 井上 誠 黒瀬 雅之 山田 好秋
出版者
日本生理学会
雑誌
日本生理学会大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.S172, 2005

Previous studies have shown that the jaw-opening reflex (JOR) is modulated during mastication. However in these studies, analyses have been carried out for limited period within the masticatory sequence (i.e. from food intake to just before swallow). Our aim is to study if the modulatory pattern of the JOR is consistent throughout the masticatory sequence in awake rabbits. The masticatory sequence was divided into three masticatory periods (preparatory, rhythmic-chewing and preswallow periods) based on the jaw movement patterns and the activity pattern of the jaw muscles. Electromyographic activity of the jaw-opening muscle (Digastric) and the jaw movement trajectories were recorded. Repetitive electrical stimulation (single pulse, 0.2 ms duration at a rate of 1 Hz, 1.2 times the threshold) of the inferior alveolar nerve was conducted before (for control response) and during mastication to evoke the JOR. The amplitude of the JOR was normalized to the control response and the modulatory pattern of the JOR was compared among the masticatory periods. The JOR was generally suppressed during the rhythmic-chewing and the preswallow periods; the suppressive effect was phasically weakened in the middle part of the jaw opening during the rhythmic-chewing period. On the other hand, the reflex was not only suppressed but also facilitated during the preparatory period. The results suggest that the modulatory pattern of the jaw-opening reflex is different among the masticatory periods. <b>[Jpn J Physiol 55 Suppl:S172 (2005)]</b>
著者
岡本 圭一郎 黒瀬 雅之 山村 健介 高木 律男
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

心理ストレスは歯科領域での痛みを増大させる。本課題ではストレスが咬筋の痛みを増大させる生体機構を、脳神経系の機能変化と想定し、基礎的に解明した。三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に着目した。これまでの研究によってVc部は顎顔面部の痛みの応答を制御する部位であることが解明されているからである。繰り返しストレス処置を加えると、咬筋への侵害刺激による Vcの興奮性は有意に増大することが明らかになった。さらに選択的セロトニン再取り込み阻害剤を繰り返し投与するとストレスによるVcの興奮性の増大は低下することがわかった。つまりストレスによるセロトニン機構の変調が咬筋の痛みを増大させることがわかった。
著者
井上 誠 山村 健介 山田 好秋
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、(1)咀嚼に関わる運動神経のプレモーターニューロンの神経生理学的特徴を調べる,(2)咀嚼運動に関わる中枢神経系の制御を受けている顎筋,舌筋,舌骨下筋に注目し,リズム性の顎運動が遂行される際に,これらの運動神経がどのような協調運動を行っているかを調べることであった.麻酔下の動物の大脳皮質咀嚼野を電気刺激してリズム性顎運動を誘発した後に上下歯根膜からの入力の変化が協調運動に与える影響を調べた.これらの結果は,閉口筋とともに,舌牽引筋である茎突舌筋は歯根膜からの入力を受けてその興奮性を高めることにより咀嚼時の顎舌協調運動を維持させて,食塊の形成・維持に関わることが明らかとなった.次に覚醒動物が食物を自由に咀嚼・嚥下するときの顎舌協調について,さまざまな物性をもつ食品を摂取したときの顎筋舌筋,舌骨上筋の筋電図を同時記録することにより評価した.その結果は歯根膜からの刺激が舌筋活動に大きな影響を与える可能性があることを示唆していた,しかし,試験食品のうち,最も硬い食品である生米を用いたときよりも飼料用のペレット咀嚼時のほうが茎突舌筋の活動は大きかった.このことは,顎筋のように歯根膜や閉口筋筋紡錘だけでなく,舌活動に大きな影響を与えている口腔粘膜や舌の受容器などのような他の末梢性入力の可能性が大いに考えられることを示唆している.咀嚼運動に関わると思われる顎口腔顔面領域の運動神経核に投射するプレモーターニューロンの神経生理学的性質を検索した結果では,末梢からの投射を受け,さらに複数の運動核に投射するプレモーターニューロンを見つけることができなかった.このことは,咀嚼運動に関わる制御機構は末梢の入力により変調は受けるものの,その制御は主にプレモーターよりも上の脳幹領域で行われ,それぞれの運動神経に出される指令は独立して行われていることを示唆するものである