著者
山村 明義
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.44-55, 2014 (Released:2014-01-20)
参考文献数
11

近年,首都圏における,朝ラッシュ時の遅延は鉄道事業者にとって大きな課題となっている.特に,稠密運転路線においては,一旦小規模な障害により遅延が発生すると,後続列車に遅延を伝播させ,拡大する傾向にある.そこで,東京地下鉄では,列車運行実績データを活用することで,遅延状況の可視化を行うと共に,遅延規模の指標化(Static Index,Active Index),遅延発生要因の分析,対策の実行というアプローチを確立した.このアプローチを,遅延・混雑の激しかった東西線をモデルに実施し,ダイヤや駅オペレーションのソフト面の改善,信号設備・駅設備・車両設備のハード面の改善を行うことで,遅延短縮を図ることができた. 本稿では,そのプロセスと遅延改善策について述べ,その改善効果を検証すると共に,首都圏稠密運転路線における遅延改善のあり方を考察する.