著者
佐藤 忠司 山村 由華 古賀 広幸 宮崎 澄雄
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.29-32, 1999-04-30 (Released:2008-11-05)
参考文献数
6

TLS (Tumor lysis syndrome) は化学療法により,またはまれに自然に悪性腫瘍が急速崩壊し,高UA (尿酸) 血症などの代謝障害に引き続きARF (急性腎不全) に至る症候群である。私たちはALL (急性リンパ性白血病) の8歳女児例に抗腫瘍剤VCR (Vincristine),DNR (Daunorubicin),MTX (Methotrexate) の投与を開始したところ翌日までに麻痺性イレウス (腸閉塞) を発症した。その後3日間で高UA血症,高りん血症などが進行し,急性腎不全となった。低Ca血症,低Na血症,肺水腫などを合併したが腹膜透析療法を含む集中治療を行い救命した。