- 著者
-
山村 英司
- 出版者
- 行動経済学会
- 雑誌
- 行動経済学 (ISSN:21853568)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.75-87, 2019-01-22 (Released:2019-01-19)
- 参考文献数
- 92
所得の不平等は古くから経済問題で,不平等を小さくするため所得分配政策は適切にと取られるべきであると認識されている.2010年代に入り近年では国内の所得の不平等が原因となって,反グローバル主義が台頭し貿易自由化を推進してきた米国などが閉鎖経済を志向する政策を取るようになった.このような現実を反映し,21世紀に入り経済学において不平等や所得再分配の問題を考察する研究が数多くなされている.とりわけ人々の心理面を考慮に入れた行動経済学において,先端的手法により分析が進められ重要な知見が蓄積されている.本稿では古くも新しい不平等の問題を,経済学はどのように分析してきたかを振り返る.そして,行動経済学に残された今後の課題に触れる.