著者
山添(池下) 花恵 河合 隆史 宮尾 益知
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.13-16, 2008
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究では,学習障害児の視覚的な認知特性に着目し,コンピュータ上での視覚的訓練方法を考案した.具体的には,漢字1文字を字画に分解し,再構成させる方法(分割・再構成法)である.漢字を細分割化し,視覚的に字画の形状を区別できるようにすることが,小児の書字スキルにどのように影響するかを調べた.学習障害児に,分割・再構成法による書字学習と視写法による書字学習を行い,訓練効果を比較した.その結果,短時間の訓練において,習得した漢字の構成に関する記憶は,分割・再構成法で長期間保持されることがわかった.視覚性の記憶が優位な学習障害児において,本法を用いた学習の有効性が示唆された.