著者
宮尾 益知
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.989-993, 2018-12-18 (Released:2019-01-21)
参考文献数
16

発達障害は1980年代初めのDSM-Ⅲからわが国において認知されるようになり,2005年の発達障害者支援法を機に注目されるようになってきた.精神科の領域においても発達障害の併存障害として二次障害として精神疾患が考えられるようになり,小児期における発達障害の治療に注目が集まるようになってきた.筆者は小児神経科医としててんかん,脳性麻痺,変性疾患などの治療に携わり,2002年の成育医療研究センターの開院が発達障害の勃興期にあたっていたり,発達障害と直接かかわり合うようになった.てんかん,錐体外路疾患などの神経生理学と薬理学,脳性麻痺を基盤としたリハビリテーション医学,同部門の児童精神科医,臨床心理士などとの共同作業として発達障害に対する独自の治療体系をつくり上げた.既存の治療だけにこだわらず,発達障害の病理,病態から推測される治療法として「代替医療」も積極的に取り入れ有効性を確認してきた.
著者
宮尾 益知
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.455-462, 2019-06-18 (Released:2019-07-26)
参考文献数
30
被引用文献数
1

発達障害が不登校の要因として重要であることについては,近年注目されるようになり,要因,きっかけ,予後についても研究が行われている.発達障害であるが知的に高い子どもたちについても,不登校の割合が多く認められることは知られていない.2Eすなわちtwice-exceptional(二重に特別な)とは,「知的に高い(ギフテッド)+発達障害」のある子どもたちであり,社会性,認知,学習などにさまざまな困難を伴っている.われわれは,多くの症例からの学びにより,2Eの子どもたちが不登校に至る要因と治療過程について報告した.発達障害から不登校に至る子どもたちには,さまざまな要因が関係しているが,分析的に検討することにより予防的試みが行われるようになることを期待したい.
著者
山添(池下) 花恵 河合 隆史 宮尾 益知
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.13-16, 2008
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究では,学習障害児の視覚的な認知特性に着目し,コンピュータ上での視覚的訓練方法を考案した.具体的には,漢字1文字を字画に分解し,再構成させる方法(分割・再構成法)である.漢字を細分割化し,視覚的に字画の形状を区別できるようにすることが,小児の書字スキルにどのように影響するかを調べた.学習障害児に,分割・再構成法による書字学習と視写法による書字学習を行い,訓練効果を比較した.その結果,短時間の訓練において,習得した漢字の構成に関する記憶は,分割・再構成法で長期間保持されることがわかった.視覚性の記憶が優位な学習障害児において,本法を用いた学習の有効性が示唆された.