著者
楠 幹江 山田 俊亮 Mikie Kusunoki Shunsuke Yamada
出版者
安田女子大学大学院
雑誌
安田女子大学大学院紀要 = The journal of the Graduate School, Yasuda Women's University (ISSN:24323772)
巻号頁・発行日
no.23, pp.171-182, 2018-03-31

衣・食・住などの生活は,生きる基本であり,幸せの基盤でもある。家政学はこの人間の生活を研究対象としており,生活の向上と人類の福祉を目的としている。「人類の福祉」の「福」「祉」は,共に幸せを意味する言葉であり,このため,家政学そのものを,幸せを追求する学問として捉えることができる。幸せとは何か?を検討する場合,健康をキーワードとすることは意味があることだと考える。ここでの健康は,WHO 憲章における内容を意味している。すなわち,「肉体的,精神的,社会的に完全に良好な状態である」ことが,健康の意味する内容である。したがって,衣・食・住それぞれの生活において,肉体的,精神的,社会的に良好な状態を維持することが,幸せな生活に繋がると考える。そのために,個人でできることは,家庭生活の営み行動を重視することである。
著者
楠 幹江 山田 俊亮
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.24-32, 2019 (Released:2019-01-25)
参考文献数
8

著者らは, カンボジア王国シェリムアップ州バイヨン中学校において, 女子生徒を対象に家庭科の授業実践を行っている. 本稿は, カンボジアの被服文化に即した巻きスカート型の制服の下衣の製作を中学家庭科の実習授業として行うことを目的としたものであり, グループ学習ならびにルーブリックを取り入れた授業の検証を行った. 制服を題材としたことは, 生徒達にとって, 学ぶ楽しみと友人との語らいを提供する大切な衣服であるという点を重視したことによる. この制服を自分で製作し, 清潔に扱い, 最後まで活用する方法を身につけることは, 家庭科が目的としている「生きる力」を育むことにつながると考える. 以上のような試みを, カンボジアにおける家庭科の授業の充実化ならびに生活の向上を目指し, 日本からカンボジアへの家政学を介した国際協力手法の試みとして本稿では報告する.