- 著者
-
佐藤 勉
利野 靖
山田 六平
大島 貴
益田 宗孝
- 出版者
- 日本外科系連合学会
- 雑誌
- 日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.197-204, 2012 (Released:2013-05-08)
- 参考文献数
- 28
ACTC-GCで切除可能な進行胃癌に対する術後補助化学療法としてS-1が標準治療となったが,層別化解析でStage Ⅲに対する有効性は実証されなかった.そこで,予後不良である大型3型・4型胃癌やbulkyN2胃癌を対象とした術前補助化学療法(Neoadjuvant chemotherapy:NAC)が注目され,第Ⅱ相試験であるJCOG0210でS-1/CDDP療法の有効性が示され,現在第Ⅲ相試験であるJCOG0501が進行中である.しかし,今までNACの有効性の根拠として考えられてきたMAGIC試験やACCORD-07試験が,EORTC-04954試験結果から疑問視されてきている. 本邦における切除不能・進行胃癌に対する標準治療はS-1/CDDP療法とされているが,さらなる治療成績向上のため3剤併用療法のDCS療法の第Ⅱ相試験が報告されている.海外でも3剤併用療法(DCF療法,DXP療法など)の臨床試験結果が報告され,治療成績の向上が期待されている. NACの治療効果を改善するための候補として3剤併用療法の第Ⅱ相試験が数多く計画されているが,JCOG0501の結果を踏まえて2剤と3剤併用療法の良質な第Ⅲ相試験が望まれる.