著者
漆原 康子 原 太一 山田 哲史 藤永 周一郎
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.155-160, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
11

小児のステロイド依存性微小変化型ネフローゼ症候群(SDNS)において,シクロスポリン(CsA)は非常に有効な免疫抑制薬であり,1 日2 回の食前内服が推奨されている。今回,SDNS 患児においてシクロスポリン1 日1回投与法による初回治療(以下1 回法,目標内服2 時間濃度600~800 ng/ml)を試みた23 例について有効性と安全性について,後方視的に検討を行った。1 回法はSDNS からの脱却率が65%,2 年間の無再発率は34.8%であった。さらに,1 回法におけるCsA 投与量は平均2.6 mg/kg であり,通常の2 回法より明らかに減量することが可能であった。しかし,1 回法も1 例(8.3%)に間質線維化を認めたため,2 回法と同様プロトコール腎生検は必要であると考えられた。SDNS 患児に対して,1回法はアドヒアランスの向上とCsA 投与量の削減が可能な有効な治療と思われた。