著者
木村 恵 山田 浩雄 生方 正俊
出版者
森林遺伝育種学会
雑誌
森林遺伝育種 (ISSN:21873453)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.105-114, 2015-07-25 (Released:2020-07-13)
参考文献数
49
被引用文献数
1

植物遺伝資源の長期的な維持・管理方法として、生殖質の生息域外保存は有効な方法のひとつである。遺伝資源を効率的に確保する上で、種子の保存は利点の多い手段であるが、乾燥耐性がほとんどない難貯蔵種子も数多く存在する。本総説ではコナラ亜属を例に、難貯蔵種子の取り扱いに関する問題点を生理的要因と生物的要因の面からまとめた。コナラ亜属においては種子が生理的な活性を保てる温度と湿度において、いかに生物学的な害(虫害、菌害)を取り除くかが重要であると考えられた。また、生理的な休眠機構を活用するには、種子の採取時期やコーティングなどの技術を検討する必要性が示唆された。今後は低温耐性や保存条件を調べることで、海外樹種で成功している−2℃程度の低温保存の検討が望まれるであろう。
著者
山田 浩雄 小林 玲爾 中田 了五 宮浦 富保
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.201-204, 1998-08-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

林木花粉の長期貯蔵試験をスギ花粉を用いて行った。花粉の含水率を調節した後,室温,5°C,-20°Cおよび液体窒素(-196°C)の四つの温度条件下で貯蔵した。また5年間液体窒素内で貯蔵した花粉(貯蔵花粉)と貯蔵していない花粉(新鮮花粉)を用いて人工交配を行った。花粉を液体窒素で貯蔵した場合,花粉の発芽率は5年間低下しなかった。人工交配によって得られた種子の100粒重,球果1個当りの種子重,種子の有胚率に関しては,花粉を液体窒素で貯蔵したことによる影響は認められなかった。