- 著者
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大澤 武
福井 道彦
小尾口 邦彦
井上 静香
山田 知輝
- 出版者
- The Japanese Society of Intensive Care Medicine
- 雑誌
- 日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.1, pp.63-66, 2008
子宮外妊娠破裂に伴う心肺停止の蘇生後に相対的副腎機能不全を発症した1例を経験した。症例は33歳,女性。子宮外妊娠破裂の発症から14時間後に当院に搬送され,直後に心肺停止となった。蘇生により心拍再開し,手術を行った。術後第1病日に循環動態が不安定になり,肺動脈カテーテルにて血管拡張性ショックと判明した。第2病日に相対的副腎機能不全を疑いACTH負荷試験後にヒドロコルチゾン200 mg・day<SUP>-1</SUP>の投与を開始し,循環動態は安定した。ヒドロコルチゾンを漸減しながら16日間投与した。負荷試験の結果は相対的副腎機能不全と一致した。また凝固障害,disseminated intravascular coagulation(DIC),急性肝不全・腎不全,多発脳出血などの多臓器不全に対して持続血液濾過透析,血漿交換などの治療を行い,状態が安定したので第24病日に一般病棟へ退室した。軽度の知能低下以外に障害を生じず社会復帰した。過大侵襲後の急性循環不全では,原因として相対的副腎機能不全も鑑別に入れて早期診断・治療を行うべきである。