著者
安場 健一郎 藤尾 拓也 渡邊 勝吉 多根 知周 山田 竜也 内村 優希 吉田 裕一 後藤 丹十郎 田中 義行
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.155-163, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
22
被引用文献数
2

施設内外の夜間のCO2濃度の計測値を利用して,隙間換気回数と施設内でのCO2発生速度を推定するソフトウェアを開発した.開発したソフトウェアはパーソナルコンピュータ上で動作し,ユビキタス環境制御システム(UECS)に準拠したCO2計測ノードが導入された施設で利用可能である.冬期間締め切った施設では夜間,土壌や植物から発生するCO2によってCO2濃度が上昇する.隙間換気回数と施設内からのCO2発生によってCO2の上昇曲線が決まる.開発したソフトウェアで,隙間換気回数推定のためのデータ収集期間を設定すると,自動的にその期間のCO2濃度を記録する.その期間の終了時に,非線形回帰分析を利用して,隙間換気回数と施設のCO2発生速度を自動的に推定する.また,計算したこれらの推定値を利用して,日中,換気開始前までの施設内での光合成速度を推定する機能を実装した.また,電子メールによってこれらの計算結果をリアルタイムにユーザーに伝達する機能を実装し,推定値の把握を容易にした.本ソフトウェアを利用することでCO2測定ノードが導入されていれば,簡単に隙間換気回数,施設内でのCO2発生速度を推定可能で,施設内でのCO2環境や省エネルギなどの施設内環境の改善に活用できると考えられた.