著者
和田 佐和子 鷲田 孝保 山﨑 郁子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.32-43, 2007-02-15

要旨:単一事例研究法条件交代デザイン(ATD)はべ一スラインと交代操作介入期をもち,複数の介入の効果を比較することができる.しかし,本研究では倫理的配慮からべ一スラインを設定できなかった.そこで,べ一スラインを設定しないオリジナルデザイン「ATD-W介入型」を提案した.デイケアに通所する重度認知症高齢者のSさん(89歳女性)を対象に,当デイケア活動における従来の介入(レクリエーション)と新しい介入(音楽活動)に対する身体活動や表情の変化について比較したところ,Sさんの場合は音楽活動の方が身体活動を引き出すことができた.2つの介入の効果を比較し,「ATD-W介入型」の臨床的有用性について考察する.