著者
松隈 洋介 定形 薫 垣上 英正 井上 元 峯元 雅樹 安武 昭典 岡 伸樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.146-152, 2006 (Released:2006-04-20)
参考文献数
7
被引用文献数
6 16

地球温暖化の主要な原因の一つになっている,火力発電所からの排ガスに含有されるCO2を,ハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いたTSA方式で除去・濃縮するシステムについて最適化のためのシミュレーション計算を行った.本研究では,各パラメータがCO2回収率と所要加熱量に及ぼす影響を検討することにより,最適条件の選定を行った.この結果,14000 m3 (STP)·h−1の排ガスを処理する装置として,直径14.5 m,層高0.5 mのロータ回転型吸着層を用いると,最適操作条件として,加熱再生ガス温度:423 K,再生ガス流量:80000 m3 (STP)·h−1,回転数:3–4 rphが得られた.なお,若干性能は低下するが,上記仕様の装置で70000 m3 (STP)·h−1の排ガス処理も可能であることがわかった.また,本システムにより排ガス中のCO2濃度(13.5%程度)を1回の操作で90%以上にまで濃縮できることがわかった.さらに,これらの結果に基づいて,処理ガス流量が180万m3 (STP)·h−1の時の実機の装置イメージを提案した.この場合の吸着層寸法は,直径14.5 m,層高0.5 mを26段たてに積重ねる構造とすると,全塔高は26 m程度と予想される.
著者
松隈 洋介 松下 雄一 垣上 英正 井上 元 峯元 雅樹 安武 昭典 岡 伸樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.138-145, 2006 (Released:2006-04-20)
参考文献数
12
被引用文献数
7 11

地球温暖化の主要な原因の一つになっている,火力発電所からの排ガスに含有されるCO2をハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いた,TSA方式で除去・濃縮するための基礎試験,パイロット試験およびシステム最適化のため吸脱着挙動のシミュレーション計算を行った.この結果,CO2の平衡吸着量は濃度と温度の関数としたLangmuir型で,また気–固間の物質移動と熱移動のJ因子はいずれもRe数の関数として一つの式で表示できることがわかった.次いで,実機を模擬した,内径460 mm,充填層高480 mmのパイロット試験により,CO2の回収率は80%以上可能であることを確認した.さらに,物質移動や熱移動などを考慮した回転式吸脱着装置のシミュレーション計算を実施した.まず,基礎試験結果およびパイロット試験結果とシミュレーション計算結果を比較することにより計算の妥当性を確認した.次いで,吸着,加熱再生,パージおよび冷却の各工程におけるCO2の吸脱着挙動を把握し,システム最適化への指針を得た.