著者
松隈 洋介 松下 雄一 垣上 英正 井上 元 峯元 雅樹 安武 昭典 岡 伸樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.138-145, 2006 (Released:2006-04-20)
参考文献数
12
被引用文献数
7 11

地球温暖化の主要な原因の一つになっている,火力発電所からの排ガスに含有されるCO2をハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いた,TSA方式で除去・濃縮するための基礎試験,パイロット試験およびシステム最適化のため吸脱着挙動のシミュレーション計算を行った.この結果,CO2の平衡吸着量は濃度と温度の関数としたLangmuir型で,また気–固間の物質移動と熱移動のJ因子はいずれもRe数の関数として一つの式で表示できることがわかった.次いで,実機を模擬した,内径460 mm,充填層高480 mmのパイロット試験により,CO2の回収率は80%以上可能であることを確認した.さらに,物質移動や熱移動などを考慮した回転式吸脱着装置のシミュレーション計算を実施した.まず,基礎試験結果およびパイロット試験結果とシミュレーション計算結果を比較することにより計算の妥当性を確認した.次いで,吸着,加熱再生,パージおよび冷却の各工程におけるCO2の吸脱着挙動を把握し,システム最適化への指針を得た.