著者
丸山 悦子 坂本 薫 岡井 紀代香
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.224-230, 1995-11-20
被引用文献数
6

ジャポニカ米とインディカ米について, 調理特性を比較検討し, 炊飯時に流出する成分と食味特性との関係を明らかにする目的で実験を行い, 次のような結果が得られた。1. 白飯の官能検査による総合評価では, あきたこまちが最も好まれ, 次にコシヒカリ, きらら397, アスカミノリの順であった。ホシユタカ, A1-333はつやがなく, 硬く, 粘りやうま味が少なかったが, RINX-89は粘りがあり軟らかく, 独特の香りがあり, 硬さとうま味は総合評価と高い相関があった。2. 炊飯液のヨード呈色度は, ジャポニカ米よりホシユタカ, RINX-89, A1-333は高く, 溶出固形物量においても同様の傾向がみられた。また, RINX-89, A1-333はタンパク質は10%前後で比較的多い。3. 米粉のアミログラム特性値と官能検査の硬さ, 粘りとは有意に相関し, ホシユタカ, A1-333の糊化開始温度は高く, 最高粘度, ブレークダウン, 最終粘度はジャポニカ米とRINX-89が高い。4. 飯粒洗浄液の全糖, 還元糖量はジャポニカ米に多く, これは官能検査の総合評価とよく相関している。ホシユタカ, RINX-89, A1-333はβ-アミラーゼ分解限度が比較的高く, 米によって飯粒外層部の溶出でんぷんに構造的な違いがあるものと考えられる。5. 飯粒洗浄液の糖組成では, あきたこまち, コシヒカリには単糖, 二糖, 三糖類が多く含まれ, ホシユタカ, A1-333ではこれらの値がやや低い。6. 各種調理法による米飯のテクスチャーでは, 常法飯はホシユタカとA1-333が硬く, 付着性は小さいが, バターライスでは官能検査における差が小さく, インディカ米は, 常法飯よりもバターライスに適することを明らかにした。