著者
三宅 明子 奥村 達也 岡本 亨
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.421-427, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
19

トラネキサム酸とアスコルビン酸リン酸ナトリウムは色素斑の治療薬としてよく知られている。これらの薬物は作用メカニズムが異なることから,併用によってより高い有効性が期待される。そこでこれら薬物の連続イオントフォレーシス(イオン導入)を試みた。トラネキサム酸はプラス極から,アスコルビン酸リン酸ナトリウムはマイナス極からのイオン導入が有効であったため,導入順序の検討を行ったところアスコルビン酸リン酸ナトリウムの導入の後にトラネキサム酸のイオン導入を行うとアスコルビン酸リン酸ナトリウムの皮内濃度は著しく低下したが,逆の順序では皮内濃度に大きな影響を及ぼさなかった。連続でイオン導入する際,皮膚に導入された薬物は次にかかる電場により様々な影響を受けることがわかった。
著者
岡本 亨
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.187-193, 2016-09-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
12

角層の乾燥は肌荒れを引き起こす。角層保湿はスキンケア化粧品にとって重要な機能である。角層保湿においては,角層に水を保持することと,皮膚からの水の揮散を防ぐことが重要である。スキンケア基剤の物理化学的な性質はこれらと密接に関係しており,適切な基剤設計を行うことで保湿作用を高めることができる。保湿剤は角層保湿において重要な役割をもっている。保湿剤は角層に貯留されることで保湿機能が高まることから,角層への浸透性を高めるためには,保湿剤の角層への分配を高める成分を水相に配合する手法が有効である。また,αゲル基剤は少量の適用でも優れた角層保湿効果を示す優れた基剤である。炭化水素油分のような疎水的な成分で肌を閉塞すると,皮膚からの水分蒸散が妨げられて肌表面に水分を保持することができる。閉塞効果は分子量の高い油分で高まるが,基剤を肌上に均一に展開することが重要である。さらに,保湿剤の浸透と水分のオクルージョン効果を両立した基剤としてαゲル基剤の超微細エマルションについて紹介する。これらのコンベンショナルな手法に加えて,角層細胞間脂質の修復に関する新たな知見について議論する。
著者
岡本 亨
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.187-193, 2016

角層の乾燥は肌荒れを引き起こす。角層保湿はスキンケア化粧品にとって重要な機能である。角層保湿においては,角層に水を保持することと,皮膚からの水の揮散を防ぐことが重要である。スキンケア基剤の物理化学的な性質はこれらと密接に関係しており,適切な基剤設計を行うことで保湿作用を高めることができる。保湿剤は角層保湿において重要な役割をもっている。保湿剤は角層に貯留されることで保湿機能が高まることから,角層への浸透性を高めるためには,保湿剤の角層への分配を高める成分を水相に配合する手法が有効である。また,αゲル基剤は少量の適用でも優れた角層保湿効果を示す優れた基剤である。炭化水素油分のような疎水的な成分で肌を閉塞すると,皮膚からの水分蒸散が妨げられて肌表面に水分を保持することができる。閉塞効果は分子量の高い油分で高まるが,基剤を肌上に均一に展開することが重要である。さらに,保湿剤の浸透と水分のオクルージョン効果を両立した基剤としてαゲル基剤の超微細エマルションについて紹介する。これらのコンベンショナルな手法に加えて,角層細胞間脂質の修復に関する新たな知見について議論する。