著者
村田 卓士 岡本 奈美 清水 俊男 玉井 浩
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.101-107, 2007 (Released:2007-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 6

PFAPA症候群とは,周期性発熱,アフタ性口内炎,頸部リンパ節炎,咽頭炎を主症状とし5歳以下の乳幼児期に発症する非遺伝性自己炎症性疾患である.病因,病態は現在不明であるが,サイトカイン調節機能異常は重要な病態の一つと考えられる.発熱発作の周期は規則的で通常3~6日間続くが,間歇期は全く症状を欠き活動性も正常である.その他,扁桃炎,倦怠感,頭痛,関節痛,腹痛,嘔吐,下痢,咳,血尿,発疹など多彩な症状を呈するが,いずれも後遺症は残さない.発熱時の非特異的炎症反応の他は特異的な検査所見はなく,診断にあたっては他の発熱性疾患の鑑別を含めた臨床診断が重要である.特異的な治療法はなく,有熱期間の短縮効果としてステロイド薬,寛解導入が期待できるものとしてシメチジンや扁桃摘出術などが考慮されることもあるが,症例の集積および検討を要する.他のautoinflammatory syndromeに比して予後は良好で,多くの症例では発症後経時的に発作間隔は広がり4~8年程度で治癒,成長および精神運動発達も正常である.口腔内病変をともなう小児期の反復性不明熱においては,本症を常に考慮する必要がある.
著者
川口 忠恭 謝花 幸祐 岡本 奈美 稲毛 康司
出版者
一般社団法人 日本小児リウマチ学会
雑誌
小児リウマチ (ISSN:24351105)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.30-35, 2020 (Released:2021-10-06)
参考文献数
22

Anti-Mi-2 antibody-positive juvenile dermatomyositis(JDM) is considered as a good prognostic inflammatory myositis for which steroid drug is effective. Although it is relatively rare in Japanese JDM, and it is also clarified that a steroid-resistant and intractable phenotype is occasionally present by our report. In such patients with steroid-resistant anti-Mi-2 antibody-positive JDM, we conclude that IVIG might be useful as a second-line drug.
著者
岡本 奈美
出版者
一般社団法人 日本小児リウマチ学会
雑誌
小児リウマチ (ISSN:24351105)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.50-57, 2022 (Released:2022-02-17)
参考文献数
22

国内で初となる「小児非感染性ぶどう膜炎初期診療の手引き2020年版」が発刊された.その背 景には,希少疾患に対する認知度の低さ,難治性病態にも関わらず治療ストラテジーが未確立と いう状況があった.そのため,最適治療・管理の標準化と,小児科医・眼科医の強固な連携を目 指し,小児リウマチ医・眼科医が協同して策定された. 小児非感染性ぶどう膜炎は自覚症状が乏しく,診断時すでにある程度進行し合併症を有する例 も少なくない.また,全身疾患の一症状として現れることや,全身治療を要する場合もあり,両 者の連携が重要となる.本稿では,海外・国内における疫学調査など文献報告を基に小児非感染 性ぶどう膜炎の実態について紹介し,「なぜ手引きが必要なのか」について概説する.そのうえで, 手引きに記載の事項と,活用方法のエッセンス・注意点を説明する. この手引きが活用されることで,小児にも非感染性ぶどう膜炎患者がいることが広く認知され, 新たな診断ツールや,治療薬の適用拡大が進み,早期診断・予後改善につながることを期待する.