著者
一柳 保 田邉 晴山 喜熨斗 智也 北小屋 裕 大迫 幹生 加百 正人 大木 哲郎 岡本 征仁 津田 雅庸 野口 宏
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.613-620, 2019-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
13

近年,大小さまざまなマラソン・ロードレースが毎週のように行われ,大会規模相応の救護・医療体制の確保が求められるが,主催者が参考にすべき指針がなかった。このため主催者が参考とすることができ,救護・医療体制を網羅し得る指針を医師・消防機関と協調し作成することとした。方法は,国内外のマニュアルなどを参考にしながら,これまでに救護・医療体制構築に加わった経験者への意見聴取,複数のマラソン・ロードレース大会の視察で得られた知見,文献検索の結果などを取りまとめ,救護スタッフの人数,資器材と救護所の数や規格を具体的に記述した指針案を作成した。マラソン・ロードレースにおける救護・医療体制の適切な確保には,主催者のみならず,消防や医療機関に対しても対応可能な指針の認知が欠かせない。さらに,救護・医療体制をスコア化する評価指標なども含め,統一した指針を使用することで,全国の大会を一定の物差しで横断的に評価することが可能になる。
著者
原 正浩 長山 英太郎 印藤 昌智 森出 智晴 菩提寺 浩 坂東 敬介 稲童丸 将人 岡本 征仁
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.578-583, 2018-08-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
12

目的:病院前救護における脳内酸素飽和度(tissue oxygen index。以下,TOI)の上昇に影響を与える要因を明らかにする。方法:2015年9月1日〜2016年1月31日の間,心肺停止傷病者に対しNIRO-CCR1を用いてTOIを測定した。結果:データが取得できた109症例でTOI上昇を従属変数としたロジスティック回帰分析を行い,「発症目撃あり,応急手当あり,気管挿管あり,薬剤(アドレナリン)投与あり,医師同乗あり,胸骨圧迫交代あり,胸骨圧迫比率」は1より大きなオッズ比を示し,「男性,心原性,初期波形VF,除細動あり」は1を下回るオッズ比であったが,いずれも統計学的に有意な結果とはならなかった。結論:TOIに与える要因として気管挿管やアドレナリン投与にTOIを上昇させる可能性があり,除細動に胸骨圧迫中断を反映してTOI上昇が得られにくい可能性が示唆されたが統計学的に有意な結果とはならなかった。TOIに与える影響やその先にある心拍再開の期待値などを確立するためには,さらなる臨床研究が望まれる。