著者
岡本 眞實
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.158-162, 1995-03-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4
被引用文献数
1

人類の争いの源はすべてエネルギー争奪にあったことを受けて, 「地上に太陽を」がこれまでの核融合研究(高温核融合)のうたい文句であった。その意味するところは, 無限のエネルギーを人類にもたらすということである。そのために, これまでに膨大な研究開発投資が先進国を中心になされてきたが, いまだに実用化は見えていない。このような状況の中で登場したのが, 常温核融合である。あまりにも簡単な装置で実験がなされたこともあって, 世界的に多くの研究者が手を染め, 一種のフィーバーとなったが, ことの真偽はどうなっているのだろうか?に答えを求めてみる。
著者
藤井 靖彦 鬼塚 初喜 野村 雅夫 冨安 博 岡本 眞實
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

昨年度の研究結果に基づき、本年度の主要な研究タ-ゲットを次のように設定した。1.ガドリニウムのイオン交換クロマトグラフィ-を行い、同位体分離係数を実測する。2.高速陰イオン交換樹脂を充填した、分離装置を使用してUー232,Uー233の濃縮挙動を解析し、他のウラン同位体と比較する。3.100℃以上での化学交換ウラン濃縮実験を行い、同位体分離係数の温度依存性を検討する。本年の研究結果は上記番号と対応し、次の通りである。1.EDTA、りんご酸を錯形成剤とするガドリニウムのイオン交換クロマトグラフィ-を行い、20m及び14mの長距離展開により、Gdー156,Gdー157,Gdー158のGdー160に対する同位体分離係数を決定した。EDTA系ではこの値が3.9×10^<-5>,4.0×10^<-5>,2.5×10^<-5>(上記同位体に対し)の値であった。2.U(IV)ーU(VI)交換陰イオン交換クロマトグラフィ-を90m/日の速度で約200m展開し、Uー232,Uー233,Uー234,Uー235の濃縮挙動を実験的に検討した。その結果、奇数のUー233はUー235と同じ方向の異常性示し、Uー232は他の偶数核種と同じ正常性を示した。この事から同位体効果の偶・奇数依存性が確認され、核スピンが関与することが明らかとなった。3.87℃と160℃でU(IV)ーU(VI)交換陰イオン交換クロマトグラフィ-を行い、同位体分離係数が温度に依存しない結果を得た。これも従来の理論を覆す事実である。