著者
登島 早紀 岡本(中村) 理恵 阿部 健一 坂嵜 潮 小松 春喜 國武 久登
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.345-352, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
32
被引用文献数
2 3

温暖な日本の気候に適し,健康機能性を有するラズベリー品種の作出のため,環境適応性の高い在来野生種ナワシロイチゴ(Rubus parvifolius L.)とラズベリー‘インディアンサマー’(R. idaeus L.)の種間交雑を行った.葉,花および果実の形態的調査において,‘07RUBIXP01’は両親の中間的な値を示し,RAPD分析によるDNA評価でも雑種性が確認された.‘07RUBIXP01’は小さな刺が見られるものの,暖地環境下でも旺盛な生育を示し,両親に比べ果実重が有意に高いことが確認された.総ポリフェノール,アントシアニンおよびエラジタンニン含量測定において,‘07RUBIXP01’は両親の中間的な値を示した.特にエラジタンニン含量において‘インディアンサマー’と比べ約4倍高い値を示した.さらに,糖と有機酸含量の測定では,両親に比べ糖酸比が高く,食味に優れていた.2012年に‘07RUBIXP01’として品種登録し(農林水産省品種登録第21801号),今後日本の温暖地域において有望なラズベリー品種として期待できる.