著者
森田 盛大 山脇 徳美 斉藤 志保子 庄司 キク 後藤 良一 岡村 敏弘 長沼 雄峯 鈴木 敞謙 熊谷 冨士雄 石田 名香雄
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.26-36, 1982-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
8

秋田県内における1970~1979年の猩紅熱罹患率 (対人口10万) を伝染病統計からみると, 20~54.7であり, 都市部が農村部より高かった. また, 本県で実施している感染症サーベイランス情報 (1978~1979年) から, 猩紅熱, リウマチ熱, 急性腎炎の患者発生実数を推計した結果, それぞれ, 年間25,143名, 495名, 1,192名であり, 猩紅熱と後2者の比は14.9: 1であった.一方, これらの病原となっているA群溶連菌の各種感染症患者からの分離頻度を菌型別にみると, 分離された216株 (分離率27%) のうち, 4型菌と12型菌が56.9%を占め, つづいて多かったのが6, 22, B3264, I型などであった.また, 県内住民のA群溶連菌に対するT抗体陽性率 (使用抗原は21種類の菌型) を測定した結果, 20種類のT抗体が検出され, このうち.2型が最も高率であり, 次いで, 4, 44, 14, 5, 28, 1型などが高かった. 年齢別T抗体陽性率分布を地域別にみると, 分布パターンそのものは概ね類似していたが, 陽性率の高さと陽性率上昇起点年齢が異なる傾向を示した.最後に, これらの各菌型の患者からの分離頻度と住民のT抗体陽性率から, 21種類のA群溶連菌の菌型を7群に群別すること, および, 試算値の病原指数を基礎に3群, 4亜群に大別することがそれぞれ試みられた.