著者
髙木 俊敬 前田 麻由 山下 恒聖 國上 千紘 岡田 祐樹 中村 俊紀 神谷 太郎 今井 孝成 水野 克己
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.228-232, 2021-08-20 (Released:2021-08-20)
参考文献数
16

症例は5か月の男児.ゴマ摂取歴はなく両親にゴマを積極的に摂取する嗜好はない.生後1か月から脂漏性湿疹を顔面に認め,生後4か月には全身に皮疹が拡大した.保護者にステロイド忌避があり自己判断で市販のゴマ油含有外用薬を日常的に広範囲に塗布していた.生後5か月に湿疹増悪と活気低下,体重減少を認め当院に入院した.入院時血液検査で,血清総IgE値,ゴマ特異的IgE抗体価の高値を認めた.ゴマ油含有外用薬を中止,適切な治療にて皮疹は軽快した.乳児期はゴマを完全除去し,1歳3か月時にゴマ0.3gの食物経口負荷試験を実施した.結果,全身に膨疹と掻痒を速やかに認め,ゴマアレルギーと診断確定した.乳児早期からゴマ油含有外用薬を湿疹部に塗布したことにより経皮感作が誘導され即時型アレルギーを発症した可能性がある.皮膚のバリア機能が障害されている患者において食物成分を含む外用を行う際には食品成分に対して経皮感作が起こりうる可能性を考慮し,医薬品をはじめ一般用医薬品や医薬部外品に含まれる食品成分に注意する必要がある.
著者
清水 美恵 今井 孝成 松本 勉 野々村 和男 神谷 太郎 岡田 祐樹 本多 愛子
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.499-507, 2022-12-20 (Released:2022-12-20)
参考文献数
29

【目的】心理的葛藤のさなかにある思春期アレルギー児が療養生活を送るうえでレジリエンス,すなわちダメージからの回復力は重要である.しかしアレルギー児のレジリエンスを測定する尺度はない.本研究では,思春期アレルギー児のレジリエンス尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検証する.【方法】対象は,協力医療施設に通院中の小4から中3のアレルギー児とした.調査は質問紙を用いて2021年9~11月に実施した.尺度原案を作成し,項目分析で得られた尺度項目に対する探索的因子分析,確認的因子分析を行った.【結果】621部を配布し,有効回答179名を分析対象とした.対象アレルギー疾患は,気管支喘息136名,食物アレルギー83名,アトピー性皮膚炎80名であった.思春期アレルギー児レジリエンス尺度は4因子(問題解決志向,探究志向,自然体志向,ネガティブ感情の共有)15項目で構成され,信頼性と妥当性が確認された.【考察】アレルギー児のレジリエンス尺度を開発した.移行支援など関係する研究で活用が期待される.