著者
岡田 誠 櫻井 宏明 鈴木 由佳理 才藤 栄一 武田 斉子 岡西 哲夫 加賀 順子 大塚 圭 寺西 利生 寺尾 研二 金田 嘉清
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.209-217, 2002
被引用文献数
4

現在,トレッドミル歩行は,省スペースで連続歩行が可能であるいう理由から,片麻痺患者や脊髄損傷患者などに多く利用されている評価・練習方法である。本研究の目的は,トレッドミル歩行における臨床的応用の予備的検討として,トレッドミル歩行と平地歩行の比較を運動力学的因子,特に床反力に着目して検討することにある。健常成人28名に対し,主観的な判断として「遅い」,「快適」,「速い」の3速度で平地歩行時とトレッドミル歩行時の床反力(垂直分力,前後分力,左右分力)を計測した。両歩行の床反力波形の類似性は,3分力ともに類似性の高い結果となった(r=0,76〜0,95)。床反力波形のピーク値の比較では,垂直分力第3ピーク値と前後分力第1ピーク値において3速度ともトレッドミル歩行の方が有意に低い値を示した(p<0.01)。これらの結果から,トレッドミル歩行と平地歩行には,相違点がいくつか認められたものの,床反力波形の全体としての類似性は高く,事前の予備練習や歩行速度の調整を行い環境的要因のことを考慮した上でトレッドミルを用いれば,有用な代替的手法になると考えられた。
著者
岡西 哲夫 大橋 哲雄 梶原 敏夫 奥村 庄次
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.535-541, 1991-09-10
被引用文献数
2

肘関節拘縮著明な6症例(骨折3例, 授動術3例)に対し, 他動的ROM訓練として徒手による方法と, ターンバックル式肘装具による方法を筋電図学的に検索した。他動的ROMの目的は, 筋の防御的収縮を低下させ, 結合組織の因子まで到達することにある。筋の防御的収縮の因子により制限されたものは徒手の方法であり, 装具による方法は疼痛は少なく, この因子を比較的低下できた。ターンバックル式肘装具は, 徒手では限界である弱い伸張力と長い時間の組み合わせと, ROMの長時間の保持等の利点から, 訓練後のROMのもどりを減少できたものと考える。本装具は開始時期を従来より早め, 使い方をきちんと教育すれば最も理にかなった方法と言える。