著者
大塚 圭 向野 雅彦 松田 文浩 才藤 栄一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.143-152, 2021-02-18 (Released:2021-04-14)
参考文献数
13

臨床における歩行分析は,視診による主観的な分析が主流であり,定量的な歩行分析は活用されていない.その理由には,時間・人的コストや計測環境といった現実因子と対象者の制限や治療に対する有用性といった利得因子がある.これらの問題を解決させる1つの方法論として三次元トレッドミル歩行分析がある.筆者らは,従来の分析法に加え,新たに開発したリサジュー図形を用いて歩行を直感的な理解に役立てる歩行概観図 (LOP),運動学的因子で指標化した異常歩行の定量的分析,機能不全と代償動作に分けて遊脚の獲得戦略を分析する足部クリアランス分析を活用している.本稿では,実践例としてこれらの分析法を概説する.
著者
岡田 誠 櫻井 宏明 鈴木 由佳理 才藤 栄一 武田 斉子 岡西 哲夫 加賀 順子 大塚 圭 寺西 利生 寺尾 研二 金田 嘉清
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.209-217, 2002
被引用文献数
4

現在,トレッドミル歩行は,省スペースで連続歩行が可能であるいう理由から,片麻痺患者や脊髄損傷患者などに多く利用されている評価・練習方法である。本研究の目的は,トレッドミル歩行における臨床的応用の予備的検討として,トレッドミル歩行と平地歩行の比較を運動力学的因子,特に床反力に着目して検討することにある。健常成人28名に対し,主観的な判断として「遅い」,「快適」,「速い」の3速度で平地歩行時とトレッドミル歩行時の床反力(垂直分力,前後分力,左右分力)を計測した。両歩行の床反力波形の類似性は,3分力ともに類似性の高い結果となった(r=0,76〜0,95)。床反力波形のピーク値の比較では,垂直分力第3ピーク値と前後分力第1ピーク値において3速度ともトレッドミル歩行の方が有意に低い値を示した(p<0.01)。これらの結果から,トレッドミル歩行と平地歩行には,相違点がいくつか認められたものの,床反力波形の全体としての類似性は高く,事前の予備練習や歩行速度の調整を行い環境的要因のことを考慮した上でトレッドミルを用いれば,有用な代替的手法になると考えられた。
著者
才藤 栄一 横田 元実 平野 明日香 大塚 圭 園田 茂
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.87-92, 2012-04-01 (Released:2014-01-15)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
谷川 広樹 大塚 圭 才藤 栄一 伊藤 慎英 山田 純也 村岡 慶裕 冨田 昌夫 橋本 修二
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.1175-1181, 2010-12-10

要旨:〔目的〕視診による異常歩行重症度スコアリングの評価者間信頼性を検討した.〔方法〕臨床経験6年以上の理学療法士10名を評価者とし,片麻痺患者13名のトレッドミル歩行ビデオ画像を観察させ,分回し歩行とトゥクリアランス低下の重症度を5段階評価させた結果の評価者間信頼性をCohenのκ係数を用いて検討した.また,評価者を経験年数と観察した部位・相で分け,κ係数を求めた.〔結果〕評価結果のκ係数は0.09~0.58であり,経験年数にかかわらず低かった.観察部位・相を揃えた群のκ係数も0.03~0.32と低かった.〔考察〕一致率の程度はslight~moderateにとどまり,評価者間信頼性は低かった.観察部位・相を揃えても信頼性は向上せず,評価者の主観的尺度と評価基準の相違が主な原因と思われた.視診による歩行分析の信頼性を高めるには,異常歩行を定義したうえで,明確な重症度基準を定める必要があると考えられた.