著者
塚原 照臣 岡野 和弘 江口 尚 塚原 嘉子 津田 洋子 漆畑 一寿 藤本 圭作 野見山 哲生
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.105-109, 2011-02

目的:SAHS健康診断を受診した労働者のRDIと肥満度および眠気の自覚症状についての関連について調べることを目的とした。方法:スクリーニング機器としてSD 101を用い、1泊の検査によって1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数であるRDIを測定した。RDIとエプワース眠気尺度(ESS)を用いて、RDIの値と日中の眠気の自覚症状についてその関連を検証した。さらにRDIとBMI、年齢との関連についてロジスティック回帰分析を用いて検証した。結果:解析対象146名の平均年齢± 標準偏差は47.0±10.0歳、BMIの平均値± 標準偏差は23.7±3.6(kg/m2)であった。15≦ RDIは18名、その有病率は全体で12.3%、いずれも男性であった。15≦ RDIの18名のうち、日中の眠気が強いと判定するESSの得点11点以上のものは1名であった。RDIに寄与する因子についてのロジスティック回帰分析の結果、BMI<25群に比し、BMI≧25群では年齢調整後のオッズ比が3.69(1.22 11.15)と有意であった。考察:男性のRDIの有病率は既存報告よりもやや高く、肥満度(BMI)がRDIに寄与していた。RDIの値と眠気の自覚症状は一致せず、SAHSのスクリーニング検査を行う際には客観的な手法を用いることが不可欠である。結果の評価時には、特に肥満に焦点を当てた健康管理対策を職域において展開することが公衆衛生上重要である。