著者
御子柴 裕子 多賀谷 昭 中畑 千夏子 宮越 幸代 内田 雅代
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.80-81, 2011-08

A市立の全小学校に在籍する5・6年生の児童を対象に,定期発育測定に合わせて腹囲,臀囲,血圧,腹壁皮下脂肪厚(Smin),腹膜前脂肪厚(Pmax)を測定した.その結果,腹壁皮下脂肪厚および腹膜前脂肪厚と血圧との間に有意な関連が認められたが,血中脂質との関連は認められず,児童の肥満は内臓脂肪型ではなく皮下脂肪型である可能性が高いことが示唆された.
著者
津田 洋子 塚原 照臣 野見山 哲生
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌 (ISSN:18822312)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.3-12, 2016-08

すんき漬は長野県木曽地方に伝わる漬物で、秋に収穫される赤かぶの葉を塩を使わずに植物性乳酸菌で発酵させ、広い年齢層の地域住民に冬季に食される郷土食である。すんき漬には家庭により多種類の植物性乳酸菌が含まれており、発酵に関係する菌種のうち3 種類が同定されている。更に、すんき漬にはI 型アレルギーに関与するIgE 生産能の減少効果を有する菌株が含まれていることも報告されている。本研究は、木曽地方の一村の全住民910 人を対象に自記式調査票によるアレルギー症状の有無と食生活等について調査を行い、すんき漬摂取とアレルギー疾患の関係を時間断面研究で調査した。回収率は88.4% であり、解析対象者376 人のうち69.7% が冬季にすんき漬を摂取していた。食物アレルギー有訴率は6.6%、アレルギー疾患有訴率は29.8% だった。ロジスティック回帰分析の結果、男性であることと1 日/週以上の納豆摂取は食物アレルギー有訴者を有意に減少させており、1 日以上/週の豆乳摂取は食物アレルギーを有意に増加させていた。冬季のすんき漬の摂取と毎日の果物摂取はアレルギー疾患有訴率を有意に減少させており、親がアレルギー症状を有すること、中華麺の1 日/週以上の摂取はアレルギー疾患有訴率を有意に上昇させていた。本研究により、冬季のすんき漬摂取はアレルギー疾患有訴率を減少させることが示唆された。本研究は時間断面研究であり、アレルギー疾患が自己申告であることから、今後、アレルギー疾患の種類や診断、すんき漬摂取量等、より詳細な調査を行うことにより、すんき漬摂取の明確な抗アレルギー効果が評価できると考えられた。 / Sunki pickle is an unsalted, traditional fermented vegetable produced in Kiso area of Nagano Prefecture, Japan. Some lactobacill in sunki have been reported to have an anti-allergic effect. We investigated sunki consumption, prevalence of allergies and lifestyle among the residents of a village in the Kiso area by questionnaire. Response rate was 88.4% and the number of valid respondents was 376. According to the response, 69.7% of the 376 participants consumed sunki during winter. The prevalence of food-allergy was 6.6%, and that of allergy diseases was 29.8%. In a logistic regression model, male gender and the consumption of natto (fermented soybeans) more than once a week significantly decreased the prevalence of food allergy, and consuming soymilk more than once a week increased the prevalence of food allergy. Sunki consumption in the winter and daily fruit consumption significantly decreased the prevalence of allergy diseases, whereas parental allergy disease and Chinese noodle consumption more than once a week significantly increased the prevalence of allergic diseases. Our findings indicate that sunki consumption during the winter may decrease the prevalence of allergy diseases. Future detailed investigations such as types of allergy, diagnoses of allergies and intake of sunki are necessary to clarify the anti-allergy effect of sunki.
著者
三橋 正浩 白井 祐二
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.40-41, 2015-08

要旨:腸管出血性大腸菌による食中毒は、年間10~30件程度発生し、近年では、生食用食肉を原因とした食中毒死亡事例があり社会的に問題となっている。原因としては食肉の加熱不足によって発生するものが多く、特に、テンダライズ(食肉の原型を保ったまま刃でその筋線維を短く切る処理)、結着および漬け込み等の処理をされた食肉は内部まで菌に汚染されている可能性があり、中心部まで十分な加熱が必要である。今回、成形肉の加熱不足による腸管出血性大腸菌O157による食中毒事例が発生し、その調査の過程で成形肉の扱いや提供者の意識について若干の知見が得られたので報告する。
著者
古川 賢一 中島 めぐみ
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.26-27, 2015-08

要旨:当院では平成7年の移転新築時、院内原則禁煙とするため建物内に喫煙所を作成。平成17年の病院機能評価受審を機に、建物外に喫煙所を移設。平成22年に筆者が院長就任時「敷地内全面禁煙」を宣言し、2回の全職員対象の講演会、さらに当院職員を対象にした「喫煙に対する意識と実態調査」を行い職員にフィードバック、平成24年に敷地内全面禁煙を実施した。しかし職員の完全禁煙化は進まず、タバコ煙フリーとはなっていない。その経過を報告する。
著者
定岡 直 柳沢 茂 中根 卓 八上 公利 小口 久雄 笠原 香
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.72-73, 2009-08

健康増進法第25条により多数の者が利用する施設における受動喫煙防止が規定されている。しかし現在も分煙が不完全な状態である喫煙所が数多くある。例えば屋外に設置された喫煙所は人通りのある所から7m以上離れた場所に設置することが求められているものの、不適合な喫煙所が数多く存在している。本調査により、非喫煙者への環境タバコ煙の曝露状態、そして、開放型喫煙所における視覚的および、機械的な有害微小粉塵を測定することにより環境タバコ煙に含まれる粉塵量の多さを明らかとした。
著者
定岡 直 柳沢 茂 中根 卓 八上 公利 小口 久雄 笠原 香
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.72-73, 2009-08

健康増進法第25条により多数の者が利用する施設における受動喫煙防止が規定されている。しかし現在も分煙が不完全な状態である喫煙所が数多くある。例えば屋外に設置された喫煙所は人通りのある所から7m以上離れた場所に設置することが求められているものの、不適合な喫煙所が数多く存在している。本調査により、非喫煙者への環境タバコ煙の曝露状態、そして、開放型喫煙所における視覚的および、機械的な有害微小粉塵を測定することにより環境タバコ煙に含まれる粉塵量の多さを明らかとした。
著者
町田 幸一 山崎 宗廣 白井 祐二
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.42-43, 2008-08

管内でのエイズ・性感染症の情報や相談・検査実施の広報は、エイズ予防ウィークと世界エイズデー、性の予防週間のイベント等での啓発活動を中心に高等学校の生徒をはじめ年代を超えたすべての人々をターゲットに進めてきた。平成18年度には木曽看護専門学校に啓発ポスターのデザインを依頼し、木曽保健所独自啓発ポスターを作製し、関係機関への配布を継続している。同じレイアウトのポスターの掲載を続けることでエイズに関する啓発を印象付ける効果をねらって、平成19年度よりコンビニエンスストアにも依頼している。また、啓発ちらしは、管内町村に依頼し全戸配布を行っている。
著者
小泉 典章 出澤 聡子 高橋 明日香
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.65-70, 2009-02
被引用文献数
2

目的:わが国の自殺をめぐる状況は、10年連続で3万人を超え、長野県でも毎年500人前後の人が自殺している。これまで、その背景をさぐる分析は長野県では行われていない。そこで長野県警察の協力を得て、平成19年の県内の自殺者の傾向を分析することを目的とした。方法:平成19年に警察庁が発表した「平成19年中における自殺の概要について」とともに、長野県警察から長野県内分のデータの提供を今回初めて受けた。長野県の自殺者の傾向を年齢別、原因別、職業別等から分析した。結果・考察:近年の自殺者数は2年連続で減少し、平成19年は全国で9番目に低い自殺率となっている。男性が、全国では全体の70.9% を占め、長野県でも367人で全体の69%を占めている。年代別の自殺者数でも男女共に全国と同様の傾向がうかがえた。自殺の原因別では、どの世代でも健康問題が1番に上がっているが、健康問題の詳細では、55歳以下の世代では精神科領域の病気が、65歳以上では身体疾患が多くを占めていた。青年層、働き盛り、高齢者等ライフサイクルを考慮した自殺対策が求められている。
著者
津田 洋子 内山 隆文 塚原 嘉子 西村 繁 塚原 照臣 野見山 哲生
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌 (ISSN:18822312)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.64-65, 2007-08

長野県木曽地域に伝わる"すんき漬"にはⅠ型アレルギーに関与するIgE抗体を抑制する植物性乳酸菌が含まれていることが報告されている。すんき漬の抗アレルギー効果を調べるための自記式調査票による調査を王滝村に実際に居住する全村民(910人)に実施した。回収率88.2%であり、回答者の76.6%が冬季にすんき漬を食し、64.1%がすんき漬を好んでいた。冬の間のすんき漬摂取の有無、煮大豆、・みそ(味噌汁として)・豆乳・乳酸菌飲料・ヨーグルトの摂取、飲酒、喫煙を説明変数としてロジスティック解析を行った結果、食物アレルギーの有無には豆乳の摂取(p=0.02)、アレルギー疾病の有無には煮大豆(p=0.03)・乳酸菌飲料(p=0.02)・ヨーグルトの摂取(p<0.00)が有意に関係している結果であった。冬の間のすんき漬の摂取は食物アレルギーの有無(p=0.10)、アレルギー疾病の有無(p=0.14)の両方に関して有意な関係はみられなかったが、オッズ比がそれぞれ1.81、1.38であった。
著者
諏訪 直人 岡田 真平 石井 誠 梅垣 茂
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌 (ISSN:18822312)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.46-47, 2013-08

要旨:地域で実践されているオリジナル体操のコンテストを企画し、5年間、6回にわたって開催した効果を検証した。コンテストへは県内で体操の実践活動に取り組む団体がエントリーし、コンテスト当日は、地域住民、健康運動指導士、保健福祉医療関係者等がイベントに参加した。これまでに、エントリーは累計のべ35チーム、イベント参加者は40市町村から累計のべ999名と拡大した。またコンテストの開催が、地域内での活動充実や、地域間での相互作用といった側面でも貢献し、公衆衛生活動としての意義は高い。
著者
諏訪 直人 岡田 真平 石井 誠 梅垣 茂
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.46-47, 2013-08

要旨:地域で実践されているオリジナル体操のコンテストを企画し、5年間、6回にわたって開催した効果を検証した。コンテストへは県内で体操の実践活動に取り組む団体がエントリーし、コンテスト当日は、地域住民、健康運動指導士、保健福祉医療関係者等がイベントに参加した。これまでに、エントリーは累計のべ35チーム、イベント参加者は40市町村から累計のべ999名と拡大した。またコンテストの開催が、地域内での活動充実や、地域間での相互作用といった側面でも貢献し、公衆衛生活動としての意義は高い。
著者
高野 由梨 織田 真理子 小林 良清
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌 (ISSN:18822312)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.50-51, 2012-08

要旨:予防接種の県内共通の評価指標として「予防接種済率」というものを考えている。この予防接種済率を算出するにあたり、予防接種台帳の管理等について各市町村の現状と課題についてまとめた。この予防接種済率を算出するには、基準日時点での居住者数(対象者数)、接種者数の把握が必要となるが、算出できるという市町村は77市町村中64市町村であった。転出入を考慮した基準日時点の対象者を把握することや転入者の接種情報を全て把握し、台帳管理することが困難な実態がわかった。
著者
栁澤 節子 小林 千世 山口 大輔 上原 文恵 吉田 真菜 鈴木 風花 松永 保子
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌 (ISSN:18822312)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.107-113, 2018-03

本研究の目的は、主観的健康感と生活形態、健康維持への意識、および地域社会活動との関連を検討することであった。2015 年7 月にM 市内の総合球戯場でゲートにいた成人と、2016 年9 月から10 月にM市内の商業施設の成人の来店者とS 大学医学部主催の健康講座に来た成人の参加者を調査対象者とした。調査内容は対象者の属性、主観的健康感、生活形態、直接スポーツ観戦の有無などであり、無記名式質問紙調査を実施した。分析は、主観的健康感について「主観的健康感高群」と「主観的健康感低群」に分けて、それらを従属変数とし、「地域活動に関する事柄」、「生活習慣に関する事柄」、「健康維持に関する意識」、「直接スポーツ観戦の有無」を独立変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った。その結果、「夢中になれるもの」(OR=3.41、95% CI=1.270─9.167)、「規則正しい生活」(OR=2.64、95% CI=1.251─5.585)、「直接スポーツ観戦」(OR=2.584、95% CI=1.158─5.766)が、主観的健康感を高める要因であった。これらのことから、人生において、夢中になれるものがあることや、規則正しい生活を送ること、直接スポーツを観戦することが、主観的健康感に大きな影響を与えていることが分かった。また、直接スポーツを観戦することや、直接スポーツをすること以外にも、スポーツに関わる、あるいは携わることが、健康に対する意識を高め、健康の保持増進に影響を与えることが推察された。したがって、スポーツができない高齢者や患者においても、スポーツを観戦することで、主観的健康感が高まり、人生における楽しみや生きがいにつながり、「近隣の人との交流」、「地域での活動に参加する」などの社会的活動やその役割、意識をも高め、主観的健康感も高まると考えられた。今後、健康寿命の延伸に向けた健康づくりのためには、今回明らかになった主観的健康感を高めるような要因が充実する介入や支援ができる体制を作り上げることが重要であると考えられた。
著者
前角 和勇 上條 敦子 大口 和枝 寺井 直樹
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.30-31, 2010-08

インフルエンザの感染予防対策については、手洗い、うがい等の感染予防、学校での学級閉鎖等の集団の閉鎖による感染拡大防止などが効果があるといわれている。そこで、昨年発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行時において、学校(小・中)から報告があったインフルエンザによる欠席者(出席停止者)の推移から、学年閉鎖及び休校措置の効果について検証を行った。検証の結果、閉鎖措置は一定の効果があったが、流行早期の閉鎖措置は有効性にばらつきが見られた。
著者
松澤 幸範 花岡 正幸
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-8, 2018-08

目的:加熱式たばこや電子たばこなど、有害性成分が低減された新しいたばこ製品が急速に普及しつつある。本研究の目的は、職場における加熱式たばこや電子たばこの使用実態および意識調査を行い、これらのたばこ製品に対する職場の対応方法を検討することである。方法:総合化学製品メーカーの A、B 事業所の喫煙者を対象に、2016 年 11 月の予備調査(A 事業所の喫煙者 126 名)に引き続き、2017 年 6 月と 11 月の 2 回、定期健診後の産業医面談を利用して喫煙者全員(それぞれ 227 名、221 名)に聞き取り形式でアンケート調査を行った。結果:加熱式たばこや電子たばこの使用者の割合は、A 事業所では 2016 年 11 月の 26.2% から 2017 年 11月の 51.9% に、B 事業所では 2017 年 6 月の 22.1% から同年 11 月の 35.8% にそれぞれ増加していた。種類別では加熱式たばこ(94.5%)がほとんどを占めた。加熱式たばこの内訳では IQOS が 82.7% を占めたが、このうち 30.8% は紙巻たばこか glo か電子たばこの二重使用であった。導入理由では「健康のため」が最多だったが、健康影響については分からないとする声も多く、情報不足が示唆された。紙巻たばこから加熱式たばこや電子たばこに切り替えた者のうち25.5%が自宅の喫煙場所を屋外から屋内に移しており、受動喫煙を軽視する傾向が示唆された。結論:職場においても、情報不足にもかかわらず自身や周囲へ健康リスクの低減を期待して加熱式たばこや電子たばこに切り替える従業員が増加していた。しかし有害性成分が低減されているとはいえ、使用者本人や受動喫煙の健康影響は現時点では不明である。以上から、職場における対応として、正確な情報の収集と従業員への提供、加熱式たばこや電子たばこの使用者への禁煙支援、禁煙区域での使用禁止の指導などを継続することが重要と思われる。
著者
松澤 幸範 花岡 正幸
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-8, 2018-08

目的:加熱式たばこや電子たばこなど、有害性成分が低減された新しいたばこ製品が急速に普及しつつある。本研究の目的は、職場における加熱式たばこや電子たばこの使用実態および意識調査を行い、これらのたばこ製品に対する職場の対応方法を検討することである。方法:総合化学製品メーカーの A、B 事業所の喫煙者を対象に、2016 年 11 月の予備調査(A 事業所の喫煙者 126 名)に引き続き、2017 年 6 月と 11 月の 2 回、定期健診後の産業医面談を利用して喫煙者全員(それぞれ 227 名、221 名)に聞き取り形式でアンケート調査を行った。結果:加熱式たばこや電子たばこの使用者の割合は、A 事業所では 2016 年 11 月の 26.2% から 2017 年 11月の 51.9% に、B 事業所では 2017 年 6 月の 22.1% から同年 11 月の 35.8% にそれぞれ増加していた。種類別では加熱式たばこ(94.5%)がほとんどを占めた。加熱式たばこの内訳では IQOS が 82.7% を占めたが、このうち 30.8% は紙巻たばこか glo か電子たばこの二重使用であった。導入理由では「健康のため」が最多だったが、健康影響については分からないとする声も多く、情報不足が示唆された。紙巻たばこから加熱式たばこや電子たばこに切り替えた者のうち25.5%が自宅の喫煙場所を屋外から屋内に移しており、受動喫煙を軽視する傾向が示唆された。結論:職場においても、情報不足にもかかわらず自身や周囲へ健康リスクの低減を期待して加熱式たばこや電子たばこに切り替える従業員が増加していた。しかし有害性成分が低減されているとはいえ、使用者本人や受動喫煙の健康影響は現時点では不明である。以上から、職場における対応として、正確な情報の収集と従業員への提供、加熱式たばこや電子たばこの使用者への禁煙支援、禁煙区域での使用禁止の指導などを継続することが重要と思われる。
著者
松本 清美 小泉 典章
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.64-65, 2010-08

自殺者数が12年連続で3万人を超える状況の中、自殺総合対策大綱に基づき、平成20年9月10日(世界自殺予防デー)に、自殺の問題を抱えた多くの人が相談しやすい体制の整備を図る一環として内閣府からの委託を受け、自殺予防を目的とした専用電話「こころの健康相談統一ダイヤル」を開設した。開設から平成22年3月までの267件の電話相談について状況を分析したところ、利用者は男女差がなく、うつ状態ではあるが、自殺の危険度は低い方の相談が多く、傾聴を中心とした受容と共感することの重要性と、相談を契機に介入が可能という行政機関の電話相談の役割がわかった。
著者
松澤 淑美 小木曽 悦人
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.58-59, 2017-08

要旨:長野県動物愛護センター(以下ハローアニマルとする)は、動物について学び、ふれあいを通して命の大切さや相手を思いやる気持ちを育み、人にも動物にも優しい社会を築くことを目的として、動物を介在した様々な事業を行っている。特に、子供達を対象とした取り組みについては、教育・医療・福祉関係機関と協働し子供達のより良い成長と発達のための支援を実施している。今回、医療と協働し動物介在療法(アニマルアシステッドセラピー)(以下AAT とする)による不登校児童生徒支援事業「ハローアニマル子どもサポート(以下子どもサポートとする)」を実施したので報告する。
著者
田中 気宇 大岩 秀明 倉島 侑希 中原 亜紗 堀 優大 宮坂 祐輔 宮下 尚輝 津田 洋子 塚原 照臣 野見山 哲生
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.36-37, 2011-08

2010年10月のタバコ価格への大幅増税の効果を、禁煙をアウトカムとして、自記式調査票により確認した。2企業を対象とし回収率は87.4%(661/756)であり、242人(36.6%)が喫煙していた。現喫煙者の方が非喫煙者よりも社会的にタバコを受けいれやすく(FTND)、現喫煙者中139人が回答した禁煙を考えるタバコ価格(1箱)は平均1,284円であり、ニコチン依存度の高い人の方がこのタバコ価格が高し、傾向が見られた。2010年に禁煙を試みた現喫煙者32人中20人、喫煙を達成した29人中11人はこの大幅増税の影響も受けており、実施者数そのものも2010年以前の年間実施者数よりも多かった。