著者
中下 俊哉 江口 有一郎 高橋 宏和 大座 紀子 桑代 卓也 河口 康典 黒木 茂高 尾崎 岩太 水田 敏彦 小野 尚文 江口 尚久 藤本 一眞
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.483-484, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
3

COBAS TaqMan HBV Test (real-time PCR method) is a new method to detect HBV-DNA with higher sensitivity and broader range of quantification than conventional methods. We evaluated HBV-DNA load by COBAS TaqMan HBV Test in comparison with Amplicor HBV Monitor Test in chronic hepatitis B patients undergoing administration of nucleoside analogue. Forty chronic hepatitis B patients were recruited. In 33 patients with less than 2.6 logcopy/mL by Amplicor HBV Monitor, Taq Man HBV Test showed less than 1.8 logcopy/mL of HBV-DNA and no amplified reaction signal in 22 patients, whereas amplified reaction signal was detected in 11 patients (33.3%). COBAS TaqMan HBV Test is more sensitive and preferable for evaluation of HBV viral load in anti viral therapy.
著者
小林 由佳 井上 彰臣 津野 香奈美 櫻谷 あすか 大塚 泰正 江口 尚 渡辺 和広
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.225-250, 2021 (Released:2021-01-01)
被引用文献数
1

多様化する産業保健上のニーズに応える能力として、産業保健専門職のリーダーシップが注目されている。本稿では産業保健専門職がリーダーシップをさらに向上させ、活動を展開していくための指針となる考え方を提案することを目的とし、リーダーシップ研究の文献レビューから産業保健専門職のリーダーシップにふさわしい概念を検討し、活動事例による例示を行なった。文献レビューでは、これまでの変遷から、近年提唱された「権限によらないリーダーシップ」に着目し、適応型および共有型リーダーシップの産業保健専門職への適用の有用性を掘り下げた。さらに事例検討から、両リーダーシップは産業保健専門職が日常的に発揮できるものであり、課題解決に有効となり得ることが示された。
著者
金森 悟 小島原 典子 江口 尚 今村 幸太郎 榎原 毅
出版者
一般社団法人 日本産業精神保健学会
雑誌
産業精神保健 (ISSN:13402862)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.105-113, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
24

目的:本研究は,デジタルヘルス・テクノロジを用いた介入による労働者のメンタルヘルスへの効果や脱落・遵守状況を検証したメタアナリシスをマッピングし,研究されていないギャップを特定することを目的とした.方法:PubMedにて労働者,デジタルヘルス・テクノロジ,メンタルヘルス,メタアナリシスに関するキーワードで2018年以降の文献を検索し,スコーピングレビューを行った.文献から抽出したデータは,研究デザイン,対象者,介入内容などとした.研究の質はAMSTAR 2を用いて評価した.結果:採択した4件におけるアウトカムへの効果は概ね小さい~中程度であった.また,脱落率の高さを示すものもあった.研究の質はいずれも信頼性の評価が極めて低~低であった.考察:未検討の対象があること,用語や定義が統一されていないこと,研究の質の低さなどの課題があり,質の高いシステマティックレビュー/メタアナリシスが必要である.
著者
櫻谷 あすか 津野 香奈美 井上 彰臣 大塚 泰正 江口 尚 渡辺 和広 荒川 裕貴 川上 憲人 小林 由佳
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.2022-015-E, (Released:2023-07-15)

目的:近年,質の高い産業保健活動を展開するために,産業保健専門職がリーダーシップを発揮することが求められている.本研究では,産業保健専門職が権限によらないリーダーシップを発揮するために必要な準備状態を測定するチェックリスト(The University of Tokyo Occupational Mental Health [TOMH] Leadership Checklist: TLC)を開発し,TLCの信頼性・妥当性を統計的に検証することを目的とした.対象と方法:文献レビューおよび産業保健専門職を対象としたインタビューに基づき,6因子54項目(自己理解10項目,状況把握10項目,ビジョン9項目,心構え12項目,業務遂行3項目,人間関係構築10項目)から構成される尺度のドラフト版を作成した.次に,産業保健専門職(人事労務,安全衛生,健康管理のいずれかの部門に所属する者)300名を対象に,webによる横断調査を実施し,信頼性・妥当性を検証した.結果:主因子法・プロマックス回転を用いた探索的因子分析を実施した結果,5因子51項目が得られた(自己理解8項目,状況把握10項目,ビジョン9項目,心構え12項目,業務遂行12項目).次に,確認的因子分析を行った結果,適合度指標はCFI = 0.877,SRMR = 0.050,およびRMSEA = 0.072となった.また,TLCの5つの下位尺度のCronbach’α 係数は,0.93~0.96となった.TLCの合計および下位尺度はいずれも,ワーク・エンゲイジメント,職務満足度,および自己効力感との間に有意な正の相関が認められた(p < .05).一方,心理的ストレス反応との間に有意な負の相関が認められた(p < .05).加えて,「権限によらないリーダーシップを発揮したことはあるか」という質問に対して「はい」と回答した群は,「いいえ」と回答した群に比べて,TLCの合計得点および下位尺度得点が有意に高かった(p < .001).考察と結論:本研究で産業保健専門職向けに新たに開発したTLCは一定の内的一貫性,構造的妥当性,構成概念妥当性(収束的妥当性および既知集団妥当性)を有することが示唆された.
著者
伊藤 研悟 伊達 康博 川村 隆浩 大城 正孝 江口 尚 小野 裕嗣
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.13, pp.3-22, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
30

昨今のSociety 5.0 及びポストコロナ時代において,研究現場ではリモート環境からデータ駆動型研究を加速させる高度な機器分析と情報連携基盤の開発が求められている.そこで農研機構では,リモート核磁気共鳴分光分析,データ駆動型解析及び機器分析データの一元管理をワンストップで提供する解析パイプラインを開発した.本パイプラインに合わせて長時間連続稼働が可能な自動前処理装置を利用することで,均質かつ均一な機器分析用試料の調製を可能にし,省人化・省力化を実現した.また,試料を約500 点セットが可能なオートサンプルチェンジャーを装着した溶液核磁気共鳴分光分析装置とリモート分析制御装置も導入し,簡便かつ安定なリモート分析の自動実行を可能にした.さらに,人工知能研究用スーパーコンピュータ「紫峰」と農畜産物のゲノムや成分などが格納された大容量の農研機構統合データベースを連携させることで,機器分析データの迅速なデータ駆動型解析とメタデータを含む機器分析データの一元管理を可能にした.この新たな基盤システムを利用することで,リモート環境にいる異分野の研究者同士がデータを介して繋がり,データ駆動型農業研究の促進や発展が期待される.
著者
川村 隆浩 桂樹 哲雄 稲冨 素子 鐘ヶ江 弘美 江口 尚
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2O4GS1304, 2020 (Released:2020-06-19)

昨今,研究データの有効活用による研究の加速化や新たな知の創造が強く求められている.そのため,各国研,大学では研究データ基盤の整備が進められており,我々,農研機構では農研機構統合DB(以下,統合DB)を構築し,2020年4月より運用を開始した.統合DBでは,農業に関する様々な研究データ(ゲノムや品種,病害虫や環境に関する情報)にFAIR原則に基づく共通メタデータを付けてカタログ化する.一方,自然科学特有の複雑に絡み合ったデータ間の関係をRDF(Resource Description Framework)やProperty Graph,またはRDB形式で記述し,統計分析や機械学習の適用を容易にする仕組みを提供している.特に,農業や環境など研究期間が長期に渡る研究データをより早いサイクルで分野横断的研究に繋げるべく,日常的に利用するファイルサーバーと研究データレポジトリを一体的に運用できる点を特徴としている.本稿では,研究データレポジトリの動向を概観した後,統合DBのシステム構成,農研機構共通メタデータを紹介し,今後の展望を示す.
著者
江口 尚
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.51-76, 2021 (Released:2021-05-13)
被引用文献数
1

近年、難病患者の治療と仕事の両立支援(以下、両立支援)への関心が高まっている。本稿では、難病患者における両立支援に関する国内外の研究の現状を把握することを目的とし、対象疾患を、炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、パーキンソン病として、それらの疾患の就労に関する文献レビューを行った。その結果、海外では様々な介入研究が行われているが、我が国においては介入研究がほとんど行われていないこと、就労に影響する要因については共通の部分と疾患特異的な部分があることがわかった。
著者
小林 暁雄 坂井 寛章 桂樹 哲雄 伊藤 研悟 稲冨 素子 江口 尚 川村 隆浩
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.13, pp.23-33, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

農研機構内のプロジェクトや研究部門・センター毎に進められているバイオ研究課題では,データ管理や解析ツール開発が一元化しておらず,データの分散や個別化が問題となっている.これを解決するため,研究課題のニーズに基づきリソースを集約・重点化することにより資源の活用を効率化し,研究成果の最大化に繋げるためのプロジェクトが機構内組織横断的に進められている.本プロジェクトでは,機構の持つ高度計算資源を連携してオミクス情報を収集・解析し,研究データの来歴保証と研究の効率化を実現する解析パイプラインシステムの構築が取り組まれている.この計算資源には,機構内のゲノム解析サーバ及びスーパーコンピュータ「紫峰」を用いるとともに,ゲノムデータと解析されたデータを保存・機構内横断で提供する基盤として,農研機構統合DB を用いる.さらに,DDBJ Sequence Read Archive に準ずるメタデータを採用し,機構内で横断的にゲノムデータを解析・検索可能な解析パイプラインシステム を実現する. 本稿では,メタデータ入出力システムの詳細について解説するとともに,パイプラインシステムの現状と課題について議論を行う.
著者
田村 輝之 江口 尚孝
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.97-100, 2011 (Released:2012-03-29)
参考文献数
9

本稿では,日本の労働市場におけるオイルショック以前,オイルショック期,バブル期,就職氷河期における職務満足度に対する特有の効果(コーホート効果)が存在しているか否かについて統計的に検証を行う.学卒時点における労働市場の需給状況が,その後の賃金や離職に長期的な影響を及ぼすことは,「世代効果」として多くの研究の蓄積が行われている.本稿では,これらの先行研究を踏まえた上で,初職の参入時期が調査時点における職務満足度にどのような影響を及ぼすかについて検討する.
著者
小林 由佳 渡辺 和広 大塚 泰正 江口 尚 川上 憲人
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.43-58, 2019-03-20 (Released:2019-03-25)
参考文献数
40
被引用文献数
2

目的:従業員参加型職場環境改善(以下,参加型職場環境改善)はメンタルヘルス不調の一次予防として有効性が示された手法であり,ストレスチェック制度の施行に伴い関心が高まっている.しかし,従業員の関与,上司の姿勢,職場の風土などにより活動の効果が一貫しないことが指摘されており,運用上の課題解決が求められる.本研究では,職場環境改善の実施手法の検討に際して職場の準備状態を見立てる観点,および組織を発達させるという組織開発の観点が有効と考え,参加型職場環境改善が有効に機能するまでに発達した職場の定義およびその獲得に必要な要因の検討と,機能する状態に向けた準備状態を段階別に把握するためのチェックリストを開発することを目的とした.対象と方法:専門家間の議論,および実務者からの意見にもとづき,参加型職場環境改善の機能する職場の状態(理想的な状態)の定義を行った.そしてその状態の獲得に必要な要因に関するアイテムプールを作成し,日本人労働者300名(男女比1:1)を対象にインターネット調査を行い,探索的因子分析にて因子構造を確認した.さらに,職場の状態のチェックリストを作成するため,理想的な状態を外生変数,その獲得に必要な要因に関する項目を内生変数としたロバスト最尤法推定によるカテゴリカルパス解析を実施し,項目ごとに閾値(threshold, θ),およびパス係数(γ)を推定した.項目ごとの閾値にもとづいて項目のレベル(その項目を達成することの難易度)を設定し,そのレベルごとに最もパス係数が高く,かつパス係数が0.60以上の項目をチェックリストに採用した.最後に各レベルと理想的な状態,および関連項目(職場の心理社会的要因,ワーク・エンゲイジメント,心理的ストレス反応)との関連を分散分析にて確認した.結果:収集された77項目のアイテムプールにおける探索的因子分析の結果,71項目3因子構造が妥当であった(第1因子「職場の受容度」,第2因子「上司のリーダーシップ」,第3因子「職場での議論の熟達」).チェックリスト作成のためのカテゴリカルパス解析の結果,第1因子から3項目,第2因子から2項目が抽出された.第3因子では理想的な状態との関連が十分でなかったため該当項目はなしと判断した.最終的に,肯定的回答率をもとに設定された4段階のレベルを5項目から判断するBODYチェックリストが作成され,各レベルと理想的な状態,および関連項目とで分散分析を行った結果,すべての指標において有意な差が認められた.考察と結論:参加型職場環境改善が有効に機能する状態の獲得に必要な要因は,職場の受容度,上司のリーダーシップ,職場での議論の熟達に整理され,これらを日常的に高めることでより有意義な改善活動につながることが示唆された.また,BODYチェックリストを用いて職場の準備状態を測定することにより,職場環境改善活動を企画する際に各職場にあった目標を設定することが可能になった.今後は,BODYチェックリストの職場単位の分布の確認および参加型職場環境改善の実施効果との関連を確認していく必要がある.
著者
久持 顕子 神代 龍吉 古賀 郁利子 田中 英介 井出 達也 日野 照子 村島 史朗 緒方 啓 桑原 礼一郎 古賀 浩徳 宍戸 昌一郎 上野 隆登 佐田 通夫 江口 尚久
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.3, pp.333-336, 2003-03-05 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8

症例は51歳女性, 1989年より2型糖尿病と高脂血症でグリベンクラミドなどで加療中であった. ピオグリタゾンの追加投与開始81日後に, 肝細胞型肝障害が認められた, 同薬の中止4週間後に肝機能は正常化した. チトクロームP450 (CYP) 2C19遺伝子型は2/2, CYP2C9遺伝子型は1/1であった. トログリタゾンと類薬の本剤によっても肝障害のおこる可能性があり, 注意が必要と思われる.
著者
塚原 照臣 岡野 和弘 江口 尚 塚原 嘉子 津田 洋子 漆畑 一寿 藤本 圭作 野見山 哲生
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.105-109, 2011-02

目的:SAHS健康診断を受診した労働者のRDIと肥満度および眠気の自覚症状についての関連について調べることを目的とした。方法:スクリーニング機器としてSD 101を用い、1泊の検査によって1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数であるRDIを測定した。RDIとエプワース眠気尺度(ESS)を用いて、RDIの値と日中の眠気の自覚症状についてその関連を検証した。さらにRDIとBMI、年齢との関連についてロジスティック回帰分析を用いて検証した。結果:解析対象146名の平均年齢± 標準偏差は47.0±10.0歳、BMIの平均値± 標準偏差は23.7±3.6(kg/m2)であった。15≦ RDIは18名、その有病率は全体で12.3%、いずれも男性であった。15≦ RDIの18名のうち、日中の眠気が強いと判定するESSの得点11点以上のものは1名であった。RDIに寄与する因子についてのロジスティック回帰分析の結果、BMI<25群に比し、BMI≧25群では年齢調整後のオッズ比が3.69(1.22 11.15)と有意であった。考察:男性のRDIの有病率は既存報告よりもやや高く、肥満度(BMI)がRDIに寄与していた。RDIの値と眠気の自覚症状は一致せず、SAHSのスクリーニング検査を行う際には客観的な手法を用いることが不可欠である。結果の評価時には、特に肥満に焦点を当てた健康管理対策を職域において展開することが公衆衛生上重要である。