著者
林 勉 伊藤 一男 岩下 武彦 遠藤 宏 小野 寛 内藤 明 山崎 福之 鈴木 美弥 八木 京子
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

新校本底本とすべき西本願寺本複製翻刻の文字の再確認と誤脱訂正を続け『校本萬葉集』等にないヲコト点・返点・合符等の校異も他の古写本にも試みた。古写本中仙覚新点本の青色書入の他に他本との校合を示す朱・赭筆書入のある京都大学曼朱院本の原本調査を終了した。また次点本で平安中後期写本で極めて年代古く極めて歌数多く校異も朱の他赭筆書入の多く価値高い元暦校本の調査も東京国立博物館のご助力頂き開始出来た。また萬葉歌を分類再編した古葉略類聚鈔の調査は進めたが平安末期書写の類聚古集の調査も始めたい。五代簡要等歌学書、古今和歌六帖等撰集、契沖等萬葉研究も続けて進めたい。
著者
林 勉 水島 義治 曽倉 岑 小野 寛 遠藤 宏 岩下 武彦
出版者
帝京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

1萬葉集の古写本を『校本萬葉集』未収のものも含めて全体を総覧できる,表を中心とした解説にさらに改訂を加え充実したものを発表した。2特に西本願寺本について,新しいポジカラーフィルムによる調査を重ねて疑問点を明らかにし,原本の巻六〜十を再度直接に調査できた。3西本願寺本の無修正モノクロ影印の作成を始め,巻一〜五を刊行し,従来の竹柏会や主婦の友社版複製の修正に伴う誤りを正した。4また西本願寺本の翻刻を,本文や訓のほかヲコト点や声点,さらに見せ消ち,削訂,重書も注記することにし,漢字の字体も原本をなるべく生かすよにし,巻第一〜五を影印に添えて刊行することができた。5仙覚改訓を示す青訓が変褪色し,朱・墨等で重書しているのに注意し,三度の重書の箇所も多く指摘できた。竹柏会複製では全て青色に復元,主婦の友社複製は,記号や書入を修正する誤りを避けることができた。6影印,特に翻刻とその注記は極めて高度な内容であるので,フィルムや原本で確かめ,また印刷上の誤植などにも細心の注意を払い,若い研究者や大学院生達の協力を得て,万全を期することに精力をこめた。7他の新点本についても神宮文庫本,陽明本,大矢本,近衛本,京大本等の調査を重ねて,西本願寺本底本の校異を,ほぼ全巻につけた。『校本萬葉集』の誤脱の指摘も,特に神宮文庫本においてかなり進んだ。8古次点本の調査は従って余り進めることができなかったが,広瀬本等新出資料についても調べねばならないが伝冷泉為頼筆本に近い。9全体の研究集約は基本となる西本願寺本複製の完成を待たねばならない。次年度中には全巻完成を見,その上に立って校異編を別冊として刊行を予定しているが,これもかなり細かな注意と忍耐が必要である。10西本願寺本複製刊行が中心となったので,そのための資料・コピー代や連絡代が必要となり,調査のための旅費が減ったのは止むを得ない。