- 著者
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樋口 恒司
今津 正史
下竹 孝志
常盤 和明
岩井 直躬
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会
- 雑誌
- 日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.7, pp.998-1002, 1999-12-20 (Released:2017-01-01)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
1
症例は4歳男児.1歳半頃, 排便時に肛門より球状のウズラ卵大腫瘤の脱出を認めた.3歳頃からは排便ごとに脱出を認めるようになったため, 近医受診後直腸脱を疑われ当科紹介となった.直腸指診上, 直腸後壁に弾性軟のウズラ卵大の腫瘤を触れ, 超音波検査にて直腸後壁に嚢胞性病変を認めた.注腸造影, CT, MRIにて直腸重複症と診断し, 経肛門的腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は径3 cm, 直腸の後壁内に存在し, 嚢胞状で内容は褐色粘液であった.組織学的には, 嚢胞は円柱上皮に覆われ, 杯細胞の散在を認めた.また, 直腸とは独立した粘膜固有層, 平滑筋層を認めた.直腸重複症は本邦では11例の文献報告を見るのみであり, 比較的まれな疾患である.本症例は経肛門的に直腸後壁粘膜を切開し, 腫瘤を摘出し得た.球状腫瘤の肛門外脱出を認める場合, 直腸重複症を鑑別診断の一つとして考慮すべきで, 鑑別診断にはCT及びMRIが有用である.