著者
岩佐 幸恵 谷 洋江 奥田 紀久子 高橋 亜紀
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は,高機能広汎性発達障害者の24時間にわたる自律神経活動の変化を明らかにすることである。定型発達では,交感神経活動は身体の活動に合わせて昼間活性化し,夜間は沈静化する。相反的に副交感神経活動は夜間に活性化し,昼間は沈静化する。高機能広汎性発達障害者においても昼間は交感神経活動が活性化し,夜間は副交感神経活動が活性化し,サーカディアンリズムを有してはいることが明らかになった。しかし,高機能広汎性発達障害者はサーカディアンリズムはあるものの,睡眠時においても心拍は速く,副交感神経活動の各指標は定型発達に比べて極めて低く,副交感神経活動が全体的に低下している可能性が示唆された。
著者
中野 沙織 岩佐 幸恵 岸田 佐智
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.2_283-2_296, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
参考文献数
26

目的:ベテラン看護師が獲得した働き続ける上での「心の強さ」の構造を明らかにする。方法:勤続年数20年以上の看護師9名に半構造化面接を行い,データを木下のM-GTAで分析した。結果:「心の強さ」には,周りに追いつくための努力ができる力,失敗を繰り返さないように努力ができる力,ポジティブな思考ができる力,自分の気持ちを調整する力,自分に合った方法で心身の健康管理ができる力,良い人間関係を構築する力,看護師としての責任を果たそうとする力,より良い看護を目指し自分ができる看護を探求する力,自分に合う働き方を選択する力があった。彼らは就業前より周りに追いつくための努力ができる力を獲得しており,その力は他の全ての「心の強さ」の獲得に影響し,職業を継続する中で維持・強化されていた。結論:看護師の職業継続には,周りに追いつくための努力ができる力を維持・強化する支援的な職場環境が重要であると示唆された。
著者
中野 沙織 岩佐 幸恵
出版者
国立大学法人 徳島大学医学部
雑誌
The Journal of Nursing Investigation (ISSN:13483722)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.10-22, 2019-03-31 (Released:2019-04-19)
参考文献数
35
被引用文献数
2

要 旨 目的:本研究は,日本における中堅看護師を対象にした先行文献から,中堅看護師の離職と職業継続に影響を与える要因を明らかにし,職業継続支援への示唆を得ることを目的とする.方法:文献は,「医学中央雑誌Web(ver.5)」,「メディカルオンライン」,「CiNii」を使用し,「看護師and離職」,「中堅看護師and離職」,「中堅看護師and職業継続」,「中堅看護師and職務継続」というキーワードで検索をした.検索の範囲は,2005年から2017年までとした.対象文献は,「辞めたいと思った理由」と「働き続ける理由」について記載がある21文献で,「辞めたいと思った理由」と「働き続ける理由」を類似性に基づいて帰納的に分類し,カテゴリー化を行った.結果:中堅看護師が「辞めたいと思った理由」として,【キャリアプランとの不一致】【やりがい不足】【人間関係によるストレス】【労働環境が悪い】【看護実践能力についての不安】【自己効力感の形成阻害】【特に働き続ける理由がない】のコアカテゴリーが抽出された.また,中堅看護師が「働き続ける理由」として,【キャリアプランとの一致】【やりがいがある】【良好な人間関係】【労働環境が良い】【看護実践能力についての自信】【自己効力感を高める体験】【特に辞める理由がない】【ストレス・マネージメント】のコアカテゴリーが抽出された.考察:看護師が離職を考える要因には,キャリアプランや,仕事のやりがい,職場の人間関係,職場の労働環境,自身の看護実践能力と自己効力感が大きく関わっており,それらは共通して職務継続の要素にもなっていた.しかし,ストレス・マネージメントは,職業継続にだけみられる要因であり,効果的なストレス・マネージメントは,離職を思い留まらせることが示唆された.中堅看護師の職業継続には,ストレス・マネージメントに着目した支援が重要である.