著者
大塚 浩仁 佐野 成寿 羽生 宏人 山本 高行 伊藤 琢博 岩倉 定雄
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.32-37, 2020-02-05 (Released:2020-02-05)
参考文献数
4

本解説では,超小型衛星打上げ機(SS-520 4,5号機)の機体システム開発の概要を示す.本ロケットの開発意義は,搭載した宇宙用機器に品質の高い民生部品を活用して超小型衛星打上げシステムを作り上げたことと,従来の開発手法に加え新たに取り組んだ民生品の品質保証の考え方を構築してフライト実証したことである.また,既存の観測ロケットに衛星打上げ能力を持たせるためには,いくつかの課題を克服する必要があった.抜本的な構造軽量化,搭載機器の小型軽量化,衛星とロケット一体となった機能の最適配分,誘導制御系の工夫,飛行安全,Test as Flyをベースとした検証試験等々,限られたリソースと開発期間の厳しい制約条件のなかで随所に創意工夫を施した.本解説では,その開発におけるポイントを総括した.