著者
岩堀 修一 崎山 亮三 高橋 和彦
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.197-204, 1963 (Released:2007-05-31)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

1. トマト福寿2号を用いて, 6段階の苗齢のそれぞれについて, 30(対照区), 35, 40, 45°Cの高温処理を1日3時間ずつ連続5日間行ない, その後の生育, 着果を調べた。2. 苗齢VI(本葉14~15枚)の45°C区を除いて生育障害はなかつた。3. 本葉5枚までの苗は高温処理で着果率は減少しなかつた。しかし, 本葉8, 11, 14~15枚の苗は高温により着果率, 収量ともに減少し, その程度は処理温度が高いほど, また苗齢が進んでいるものほど著しかつた。本葉8枚の苗は第1花房, 11枚の苗は第1, 2花房, 14~15枚の苗は第1~3花房までが障害をうけた。4. 発育のステージを異にする花蕾に対する高温の影響をみると, 開花15日前~開花9日後ごろの花蕾が高温の影響をうけ, とくに開花5日前ごろと開花1日後は着果率の減少がはなはだしかつた。5. 開花中または開花後高温をうけた花からは小粒果が出現した。それ以外の奇型果の出現はみられなかつた。
著者
岩堀 修一 高橋 和彦
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.299-302, 1963 (Released:2007-05-31)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

1. トマト福寿2号苗を用いて, 第1花房第1花が開花のとき, 40および45°Cそれぞれ1, 3, 6, 15時間高温処理を行なつた。2. 収量からみると40°C 1時間区は対照区と差がなかつた。それ以外の区では減収し, その程度は処理温度が高いほど, また処理時間が長いほど著しかつた。3. 人工発芽床による花粉の発芽試験の結果, 成熟花粉の発芽は, 40°C 1時間区でも非常に不良であつた。4. おのおのの蕾への高温の影響をみると, 開花8~9日前ごろの蕾が高温に対して最も弱く, 40°C 1時間でも障害をうけた。これと花粉発芽試験の結果から, 40°C 1時間程度の処理でも高温障害が現われると思われる。
著者
岩堀 修一 菅谷 純子 小塩 海平 坂本 知昭
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

マンゴー果実をエチレン吸着袋で貯蔵すると、貯蔵期間が延長され、袋内の果実は呼吸、エチレン発生ともに抑えられた。果実を20Cと13Cで貯蔵すると、ACC合成酵素、ACC酸化酵素ともにまず遺伝子の発現が上昇し、ついで、酵素活性が増加、その後にエチレン発生が増加した。8C貯蔵で低温障害が認められ、完熟果より緑熟果のほうが早く出現した。緑熟果ではACC合成酵素、ACC酸化酵素ともに遺伝子の発現が著しく高くなった。
著者
岩堀 修一 米山 三夫 大畑 徳輔
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.43-48, 1979-03-19

ニンポーキンカンの着色を促進し, 早期収量を増加させるためのエスレル(2-chloroethylphosphonic acid)の最適散布時期と濃度をきめるために, 加世田市の栽培者の園で3年間実験を行なった.第1実験ではエスレル0ppm, 200ppm, 400ppmを11月4日に散布した.エスレルは着色を促進し, その効果は濃度の高い方が著しく, 特に赤色の発現が顕著であった.第2実験ではエスレル0ppm, 200ppm, 400ppmを早期(10月18日), 中期(10月28日), 晩期(11月9日)に散布した.エスレルの着色促進効果は, 濃度は高い方が, 時期は早いほど著しかった.しかし400ppmの早期散布では50%の落果が, 中期散布では20%の落果があった.第3実験では2年間にわたりエスレル400ppm散布区と対照区の早期収量を調べた.散布は初年度は10月30日に, 2年目は11月2日に行なった.2年間ともエスレル散布によって早期収量は著しく増加し, 1月まで残る果実はほとんどなかった.落葉・落果, あるいは樹体への悪影響は認められなかった.第4実験では, 1.無処理, 2.10月18日200ppm散布, 3.10月18日と11月2日の2回200ppm散布, 4.11月2日300ppm散布の4処理の収量を比較した.300ppm散布で早期収量は著しく増加した.しかし200ppm1回と2回散布の間には差はなく, ともに対照区より早期収量は高い傾向にあったものの, 有意差は認められなかった.以上の結果から10月下旬〜11月上旬の300〜400ppmのエスレル散布が落葉・落果をほとんどおこすことなく, キンカンの着色促進, 早期収量増に有効であると思われた.
著者
岩堀 修一 大畑 徳輔 イワホリ シュウイチ オオハタ IWAHORI Shuichi OOHATA J.T
出版者
鹿児島大学
雑誌
南海研紀要 (ISSN:03895351)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.67-73, 1981-11-10

Two experiments were conducted to evaluate the alleviative effects of calciumacetate on defoliation and fruit drop induced by the spray of Ethephon (2-chloro-ethylphosphonic acid)solution which is used to accelerate the degreening of ponkan, Citrus reticulata Blanco, fruit. The effect of Figaron (Ethyl 5-chloro-1 H-3-indazolyl acetate) on degreening was also investigated.In experiment 1, a split-plot design was employed where the main plots consistedof three levels of Ethephon concentration (0, 200, 400, ppm) and six replicates, whilethe sub-plots consisted of four limbs designated to four levels of calcium acetateadded (0, 0.2, 1.5%). The spray treatment was done on November 1, and Ethephonand calcium acetate were mixed just before the spray application.Ethephon substantially increased defoliation and fruit drop, however, this wasalmost completely prevented by the addition of calcium acetate. Ethephon markedlyincreased the coloration of ponkan fruit. The addition of calcium acetate slightlydecreased the color acceleration, but the color was still considerably increased whencompared with the unsprayed control group.In experiment 2,200 ppm Ethephon with 1% calcium acetate and 200 ppmFigaron treatments were compared as a factorial combination consisting of fourtreatments. Figaron was sprayed on September 9, and Ethephon on November 4.No defoliation and fruit drop were observed in any treatment plots. Ethephonwith calcium acetate remarkably accelerated degreening and coloration of ponkanfruit. Figaron also appreciably improved fruit color but no additive effects ofEthephon and Figaron treatments were observed over Ethephon treatment alone.It is suggested that spraying 200 ppm Ethephon mixed with 1% calcium acetatein early November accelerates degreening and coloration without defoliation andfruit drop, and the method is commercially feasible.ポンカン(Citrus reticulata Blanco)果実の着色促進にエスレル(2-chloroethylphosphonic acid)を散布する際の,酢酸カルシウム混用による落葉・落果防止効果を検討した。またフィガロン(Ethyl 5-chloro-1 H-3-indazolylacetate)の着色促進効果も試験した。実験1では分割区法でエスレル濃度(0, 200, 400ppm)と酢酸カルシウム濃度(0, 0.2, 1, 5%)を組みあわせ,11月1日に散布した。高濃度のエスレルで落葉・落果が増加したが,酢酸カルシウムの混用により,落葉・落果が抑制された。エスレルによる着色は著しく促進されたが,酢酸カルシウムの混用はいく分その効果を弱めた。実験2では要因配置法で1%酢酸カルシウム混用200ppmエスレル散布,無散布と,200ppmフィガロン散布,無散布をくみあわせ,4処理の試験を行なった。フィガロンは9月9日,エスレルは11月4日に散布した。どの区でも落葉・落果はほとんど認められなかった。エスレルは着色を著しく促進した。フィガロンも着色を促進したがエスレルには劣った。エスレル,フィガロンともに果実中の糖やクエン酸含量に影響を及ぼさなかった。1%酢酸カルシウム混用200ppmエスレルの11月上旬散布がポンカンの着色促進のため実用化できると考えられる。