著者
岩崎 万喜子 山本 照子 永田 裕保 山城 隆 三間 雄司 高田 健治 作田 守
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:0021454X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.696-703, 1994-12
被引用文献数
29

近年, 成人の矯正歯科治療患者が増加している.そのような最近の動向を把握するために, 1981年4月から1993年3月までの12年間に大阪大学歯学部附属病院矯正科で治療を開始した18歳以上の成人患者について実態調査を行った.1. 調査を行った12年間で, 治療を開始した患者数は口唇裂口蓋裂を除くと総計4, 040人で, そのうち成人患者は793人(19.6%)であった.成人患者数は1990-1992年に増加していた.男女比(男性を1とする)は1 : 2.1で, 12年間を通じて変化はみられなかった.2. 年齢分布では, 男女とも20-24歳が最も多かった.経年的には男女とも20歳代の増加がみられ, 25-29歳の女性の比率が1990-1992年に増加していた.3. 距離別の居住地域は, 1983年度に附属病院が大阪市から吹田市に移転したため, 近距離からの通院が増加していた.4. 外科的矯正患者は1990年度に保険適用されて以来増加した.5. 各種不正咬合の分布状態は, 男女とも叢生が最も多く(28.4%), 経年的に増加傾向を示した.6. 顎関節症を伴う成人患者は23.1%に認められ, 経年的に増加傾向を示した.男女比は1 : 2.9であった.
著者
永田 裕保 山本 照子 岩崎 万喜子 反橋 由佳 田中 栄二 川上 正良 高田 健治 作田 守
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:0021454X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.598-605, 1994-10
被引用文献数
19

1978年4月から1992年3月までの過去15年間に大阪大学歯学部附属病院矯正科で治療を開始した, 口唇裂口蓋裂を除く矯正患者4, 628名(男子1, 622名, 女子3, 006名)を対象とし, 統計的観察を行い以下の結果を得た.1.大部分の患者は半径20 km以内から来院しており, 大阪府下居住者であった.2.男女比は男子 : 女子=1 : 1.9であり年度による大きな変動はなかったが, 9歳以降年齢が高くなるにつれて女子の割合が上昇した.3.治療開始時の年齢は7∿12歳が大半を占めた.近年13歳以上の割合が増加を示した.咬合発育段階では, IIIB期が最も多かった.4.各種不正咬合の分布状態は, 男子では反対咬合の割合が最も高かった.一方, 女子では, 叢生の割合が最も高かった.男女ともに年々反対咬合の割合が低下し, 叢生の割合が上昇した.5.Angle分類については, 男女ともにAngle I級が最も多く, 骨格性分類では, 男子で骨格性3級, 女子で骨格性1級が最も多かった.咬合発育段階別の骨格性分類では, 骨格性2級はIIC期からIIIA期にかけて増加を示し, 骨格性3級はIIC期とIVC期に多かった.IIIC期からIVC期におけるAngleの分類と骨格性分類との関係について, 男女ともAngle I級では骨格性1級, Angle II級では骨格性2級, Angle III級では骨格性3級が多く認められた.