著者
岩崎 奈緒子
出版者
サッポロ堂書店
雑誌
北海道・東北史研究
巻号頁・発行日
no.3, pp.80-85, 2006-12
著者
岩崎 奈緒子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の特色は、寛政期の対外政策を、当該期を世界観の変容というダイナミズムの中に位置づけた点にある。具体的には以下のことが解明できた。(1)蝦夷地政策に積極的であった田沼期と蝦夷地幕領期との間に位置する寛政改革期は、蝦夷地政策を展開させる重要な一段階であった。(2)対ラクスマン外交は、むしろ、日本の伝統的な対外関係のあり方に即して策定された(3)定信はロシアに対する深い知識を背景に、礼節を持った法治国家、すなわち、文明の国として、ロシアに対し日本を対置した(4) 「鎖国」の観念がナショナリスティックな色彩を帯びつつ、日本の国是として定着する契機は、日露紛争という近世日本が初めて遭遇した深刻な対外的危機にあった。
著者
岩崎 奈緒子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、幕府が「鎖国」をヨーロッパに対する外交体制として採用する歴史段階を確定し、「鎖国」体制の特質を明らかにすることを課題とした。この研究により、ロシアの出現という事態が日本人の世界認識に転換を促した事実を発見できた。すなわち、広大で強大なロシアの存在が認知された結果、そのようなロシアが存在する世界とはどのようなものなのか、という問いが生まれ、その探究によって、ヨーロッパが一つの勢力として、世界を席巻しつつある事実が認知されたのである。「鎖国」の語は、このような世界認識の転換のダイナミズムの中で生まれた語であり、ヨーロッパ概念抜きには成り立ち得ない認識であったといえよう。