著者
福島 和郎 岩崎 庸男 渋谷 昌三 Kazuro Fukushima Tsuneo Iwasaki Shouzo Shibuya 目白大学大学院心理学研究科 目白大学人間社会学部 目白大学人間社会学部 Mejiro University Graduate School of Psychology Mejiro University Faculity of Human and Social Sciences Mejiro University Faculity of Human and Social Sciences
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.(2), pp.65-74, 2006

終助詞「よ」と「ね」に関する研究の特徴を研究分野ごとに大別すると、初期の国文法分野を中心とする構文論的アプローチや、最近の発達研究と自閉症研究の分野を中心とする事例に基づくアプローチは、主に「よ」と「ね」の対人関係機能を指摘し、日本語文法、日本語教育、言語心理学の分野を中心とする語用論的アプローチは、主に「よ」と「ね」の内在的意味を指摘し、認知科学分野を中心とする談話管理理論に基づくアプローチは、主に「よ」と「ね」が果たす情報伝達時の手続き的な指示機能を指摘しており、研究分野によって解釈が様々に分かれている。また、研究方法については、大半の研究で研究者の経験や理論に基づいた用例解釈が採用されている。発達研究と自閉症研究および一部の言語心理学分野では統計データを重視した研究方法も採用されているが、こうした研究では分析対象とされる発話文の種類が限定的な用法に留まっている。「よ」と「ね」に関する研究の更なる進展には、学問分野を越えた幅広い視点からの実証的研究が求められよう。
著者
藤田 統 加藤 宏 牧野 順四郎 岩崎 庸男
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

行動の個体差の原因と形成過程を知るために、我々の研究室で選択交配により作り上げた情動反応性に関する近交系ラット2系統(Tsukuba情動系ラット)および活動性に関する近交系マウス2系統等を用いて、様々な行動遺伝学的、生理生化学的研究を行った。また、Tsukuba情動系ラットを野外フィールドにおいて自然繁殖させ、生態学的研究を行った。1.Tsukuba情動系ラット(THE系とTLE系)のP_1、P_2、F_1、F_2、B_1、B_2を用いてランウェイ・テストの諸測度について古典的遺伝分析を行い、それぞれの遺伝構築を検討したところ、例えば、選択指標である通過区画数には、♀では優勢効果のない中間遺伝が、♂では高情動側への指向優勢が見いだされた。また、各測度間の遺伝相関、諸測度の遺伝率、遺伝子座の推定値を求めたところ、遺伝子座の最小推定値は♀で2〜4、♂で2〜3であった。2.Tsukuba情動系ラットの脳内生化学物質を定量したところ、例えば視床下部のAD濃度がTLEの方がTHEより高いなど、両系の脳内モノアミンおよび代謝産物濃度に様々の生化学的差異が見いだされた。3.Tsukuba情動系ラットのシェルター付きオープンフィールド・両端部屋付き直線走路・I迷路における諸行動、ホーディング行動、穴掘り行動、攻撃行動等が研究され、両系の行動上の差異が比較・検討された。4.Tsukuba情動系ラットの味覚嫌悪学習が、その習得、把持、消去、外部刺激の効果に関して研究された。消去において系統差が見られた。5.ランウェイ、オープンフィールド、I迷路におけるラットとマウスの諸行動を主成分分折して、主因子を抽出した。6.野外フィールドでのTsukuba情動系ラットの性行動、社会行動、日周リズム等が研究され、個体数の推移も分析された。また、野外フィールド育ちによる行動変容についても研究された。