著者
岩本 さき 笠井 新一郎 苅田 知則 長嶋 比奈美 稲田 勤 塩見 将志 間野 幸代 石川 裕治 山田 弘幸
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-32, 2001-03-31 (Released:2018-08-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2

平成11年度より,香川県坂出市では,1歳6ヶ月児健診で未通過だった子どもの発達状況のフォローを一つの目的として,保健婦と言語聴覚士による2歳児を対象とした発達相談(以下,2歳児相談)を行っている.しかし,実施に際して,評価時間の短さや,子どもの語彙発達を評価する指標がない点が問題として挙げられた.そこで,2歳児相談時にスクリーニングとして使用できる語彙チェックリストを作成することを目的とし,2歳児の語彙発達の現状を明らかにするための調査研究を行った.調査の対象者は,香川県坂出市内の全保育所(12施設)に所属する1歳11ヶ月から2歳11ヶ月の子どもの保護者であり,161名であった.調査においては,名詞・代名詞・抽象語・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・感動詞を含む,全語彙数452個のチェックリストを,調査用紙として用いた.分析を加えた結果,2歳児相談でスクリーニングの指標となる平均語彙数は,2歳0ヶ月児で183.9語,2歳6ヶ月児で288.7語であった.また,2歳9ヶ月〜2歳11ヶ月にかけて350語を超えており,グラフはほぼ横這い状態を示した.これらの結果から,今回用いたチェックリストの適用範囲は2歳9ヶ月以前と考察された.
著者
塩見 将志 笠井 新一郎 岩本 さき 苅田 知則 長嶋 比奈美 稲田 勤 間野 幸代 石川 裕治 山田 弘幸
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-54, 2001-03-31 (Released:2018-08-29)
参考文献数
9

今回,私たちは,2歳児相談において,言語発達を正確に評価し,言語発達障害を有する子どもや「気になる子」を早期発見・早期療育するための語彙チェックリストの作成を目的に保育所に通う2歳前後の幼児を対象とした表出語彙に関する事前調査を実施した.なお,本稿では,その中でも特に動詞に焦点を当てて検討を加えた.調査で用いたチェックリストの項目は,大久保(1984)が作成した2歳児の語彙リストと三省堂「こどもことば絵じてん」を参考に作成した.本稿で取り扱う動詞は452の全語彙中,123語であった.本調査における動詞の特徴として,2歳0ヶ月時で通過する語は123語中,12%であり,2歳6ヶ月時で通過する語は60%となった.このことからも,動詞は2歳0ヶ月から2歳6ヶ月の間に飛躍的に獲得される可能性が示唆された.
著者
岩本 さき 笠井 新一郎 苅田 知則 長嶋 比奈美 稲田 勤 塩見 将志 間野 幸代 石川 裕治 山田 弘幸
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-32, 2001-03-31

平成11年度より,香川県坂出市では,1歳6ヶ月児健診で未通過だった子どもの発達状況のフォローを一つの目的として,保健婦と言語聴覚士による2歳児を対象とした発達相談(以下,2歳児相談)を行っている.しかし,実施に際して,評価時間の短さや,子どもの語彙発達を評価する指標がない点が問題として挙げられた.そこで,2歳児相談時にスクリーニングとして使用できる語彙チェックリストを作成することを目的とし,2歳児の語彙発達の現状を明らかにするための調査研究を行った.調査の対象者は,香川県坂出市内の全保育所(12施設)に所属する1歳11ヶ月から2歳11ヶ月の子どもの保護者であり,161名であった.調査においては,名詞・代名詞・抽象語・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・感動詞を含む,全語彙数452個のチェックリストを,調査用紙として用いた.分析を加えた結果,2歳児相談でスクリーニングの指標となる平均語彙数は,2歳0ヶ月児で183.9語,2歳6ヶ月児で288.7語であった.また,2歳9ヶ月〜2歳11ヶ月にかけて350語を超えており,グラフはほぼ横這い状態を示した.これらの結果から,今回用いたチェックリストの適用範囲は2歳9ヶ月以前と考察された.
著者
間野 幸代 笠井 新一郎 岩本 さき 苅田 知則 長嶋 比奈美 稲田 勤 塩見 将志 石川 裕治 山田 弘幸
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.55-60, 2001-03-31 (Released:2018-08-29)
参考文献数
12

香川県坂出市で行われている「2歳児相談」において,言語発達障害を有する子ども等の早期発見・早期療育を行う手がかりの1つとして,語彙チェックリストを作成する目的で,2歳児を対象に表出語彙に関するアンケート調査を実施した.本研究では文法カテゴリー別に分類し,修飾語である形容詞,形容動詞,副詞に関して整理および考察を試みた.2歳0ヶ月児と2歳6ヶ月児の表出語彙数を比較した結果,語彙数は急速に増加していた.修飾語の内容に関して,Nelson(1973)の文法カテゴリーの分類をもとに整理した場合,形容詞における属性および状態に関する語彙に関しても2歳6ヶ月児で増加傾向を呈していた.さらに性質を示しかつ,対の意味を示す形容詞において,2歳6ヶ月児では対義語(大きい-小さいなど)をともに獲得しているのに比し,2歳0ヶ月児では,一方の語しか獲得されていないことが確認された.したがって,形容詞・形容動詞・副詞等の修飾語の語彙チェックリストを作成する場合,(1)修飾語の種類や数を増やすこと,(2)形容詞に関しては,対義語の吟味が必要であることが示唆された.
著者
長嶋 比奈美 笠井 新一郎 岩本 さき 苅田 知則 稲田 勤 塩見 将志 間野 幸代 石川 裕治 山田 弘幸
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-48, 2001-03-31 (Released:2018-08-29)
参考文献数
10

著者らは,1歳6ヶ月児健診で気にかかった子どもの経過観察として,香川県坂出市において2歳児を対象として発達相談(以下,2歳児相談)を試験的に行っている.言語発達障害を有する子どもの早期発見・早期療育を行う手がかりとして,2歳児相談時にスクリーニングとして使用できる語彙チェックリストを作成することを目的とし,2歳児の語彙発達の現状を明らかにするための調査研究を行った.調査の対象者は,香川県坂出市内の全保育所(12施設)に所属する1歳11ヶ月から2歳11ヶ月の子どもの保護者であり,161名であった.調査においては,名詞・代名詞・抽象語・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・感動詞を含む,全語彙数452個のチェックリストを,調査用紙として用いた.本稿では,抽象語・代名詞に焦点を当て,調査項目の検討を行った.その結果,2歳0ヶ月〜2歳6ヶ月の段階で通過しやすい「抽象語」としては,簡単な「数・色・空間・時間概念」,「視覚理解可能な概念」や「体感的な抽象概念」,代名詞としては,「自分や保護者の領域の物を表す『コ』に関する指示詞」,「第三者の領域の物を表す『ア』に関する指示詞」が見いだされた.また,2歳10〜11ヶ月児でも60%未満しか通過しない語としては「不可視事象や心的状態に関する抽象語,2歳児には理解困難な抽象度の高い位置・方角概念」,自分と保護者が分離されているという認識が獲得された上で,自分と保護者の間にある物を示す中間的な「指示詞『ソ』に関する語」,「自己を含む人物の集合体」などが挙げられた.
著者
苅田 知則 笠井 新一郎 岩本 さき 長嶋 比奈美 稲田 勤 塩見 将志 間野 幸代 石川 裕治 山田弘幸
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-39, 2001-03-31 (Released:2018-08-29)
参考文献数
10
被引用文献数
3

著者らは,1歳6ヶ月児健診で気にかかった子どもを改めて経過観察として,香川県坂出市において,2歳児を対象として発達相談(以下,2歳児相談)を試験的に行っている.2歳児を対象とした相談事業や経過観察を行うことによって,何らかの言語発達障害を有する子どもや「気になる子」を早期発見・早期治療することが可能となるが,評価時間の短さや,子どもの語彙発達を評価する指標がない点が問題として挙げられた.そこで,①2歳児の語彙発達の現状を明らかにし,②2歳児相談時にスクリーニングとして使用できる語彙チェックリストを作成する,ことを目的とし,調査研究を行った.調査の対象者は,香川県坂出市内の全保育所(12施設)に所属する1歳11ヶ月から2歳11ヶ月の子どもの保護者であり,161名であった.調査においては,名詞・代名詞・抽象語・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・感動詞を含む,全語彙数452個のチェックリストを,調査用紙として用いた.本稿では,名詞に焦点を当て,Nelson(1973)の文法カテゴリーを用いて分析を加えた.その結果,以下の三点が示唆されるとともに,これらの点は,特に2歳児相談において注意すべきポイントとして考察された.(1)2歳0ヶ月児の60%が表出していると回答があった項目は86語であり,2歳6ヶ月児の場合は137語であった.(2)2歳児相談としてチェックすべき名詞の数は90±10語程度である.(3)「事物」と「抽象」に分類される語が2歳0ヶ月から2歳6ヶ月の間で大きく変化する.
著者
塩見 将志 笠井 新一郎 岩本 さき 苅田 知則 長嶋 比奈美 稲田 勤 間野 幸代 石川 裕治 山田 弘幸
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-54, 2001-03-31

今回,私たちは,2歳児相談において,言語発達を正確に評価し,言語発達障害を有する子どもや「気になる子」を早期発見・早期療育するための語彙チェックリストの作成を目的に保育所に通う2歳前後の幼児を対象とした表出語彙に関する事前調査を実施した.なお,本稿では,その中でも特に動詞に焦点を当てて検討を加えた.調査で用いたチェックリストの項目は,大久保(1984)が作成した2歳児の語彙リストと三省堂「こどもことば絵じてん」を参考に作成した.本稿で取り扱う動詞は452の全語彙中,123語であった.本調査における動詞の特徴として,2歳0ヶ月時で通過する語は123語中,12%であり,2歳6ヶ月時で通過する語は60%となった.このことからも,動詞は2歳0ヶ月から2歳6ヶ月の間に飛躍的に獲得される可能性が示唆された.