著者
高橋 恵子 奥瀬 哲 八代 信義 佐藤 豪 岩渕 次郎
出版者
旭川医科大学
雑誌
旭川医科大学紀要. 一般教育 (ISSN:03878090)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.11-26, 1997-03

出版社版1)尺度得点の因子分析からACに関連した自我状態で,神経性過食症は感情抑制とそれによる慢性的な陰性感情の蓄積傾向を顕著に示し,不適応感が強く,不安-抑鬱気分を伴った過敏な対人関係,過剰適応傾向が示された. 2)消化性潰瘍は,不安-抑鬱気分などの心理状態についての自覚が乏しい傾向にあった. 3)過換気症候群や神経性嘔吐の患者群は,理性的,知的に自己を統制し,外界に対して望ましい社会性を示そうとする意識が高かった.一方,不安感などの内面的問題に関しては防衛的傾向にあり,抑圧的で緊張の強い適応様式が窺われた. 4)また過敏性腸症候群の患者のエゴグラムは特にきわだった傾向は見出されなかった
著者
今川 民雄 岩渕 次郎
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.41-51, 1981
被引用文献数
1

本論文では, 好意的2人関係における相互的な認知過程の関連を吟味するとともに, その構造に関して因子分析的な検討を行った.<BR>56ペア112名の好意的関係にある男子大学生を被験者とし, 長島ら (1967) のSelf-Differential Scaleによって (1) 自己認知: S→s, (2) 他者認知: S→o, (3) 他者の自己認知についての推測: S→ (O→o), (4) 他者の他者認知についての推測: S→ (O→s), (5) 理想の自己像: S→Isの各認知過程につき, 相互に評定させた. 主な結果は以下の通りである.<BR>1) 好意的な2人関係においては, S→Is: O→Io, S→s: S→ (O→s), S→o: S→ (O→o) の3種が, 最も基本的な認知過程対であることが明らかとなった.<BR>2) 認知過程対の類似度に基づく因子分析の結果, 「自己像の類似性に関わる因子」 「自己像の開示性因子」 「理想化傾向因子」 「他者像の類似性に関わる因子」 「Self-esteem因子」 「他者像の開示性因子」 「自己志向的正確さの因子」 「他者による理想化傾向因子」 「他者志向的正確さの因子」 の9因子が見い出された.<BR>3) これらの因子は認知の対象 (自己・他者) と, 対人認知に働く要因 (正確性・類似性・開示性・理想化) の2次元に基づいて分類された.