著者
中村 武宏 ベンジャブール アナス 岸山 祥久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.451, pp.107-114, 2012-02-29
被引用文献数
3

現在3GPP(3^<rd> Generation Partnership Project)において,LTE Release 11の標準化が2012年9月の仕様承認に向けて行われている.LTE Release 11では,マルチポイント協調送信(CoMP),追加のキャリアタイプや制御チャネルなどの改善機能が検討されており,LTE Release 10に比較して更なる性能改善および柔軟なシステム展開を実現することが期待できる.一方,近年スマートフォンのような高機能端末が一般層へ広く普及したことを起爆剤として,動画配信等のブロードバンドサービスを中心に無線ネットワークにおけるデータトラヒックが爆発的に増大している.これは,これまでの傾向から予想される範囲を大きく超える伸びであり,更なる飛躍的なシステムの性能改善が必要である.本講演では,このような背景を踏まえ,2020年に向けた将来無線技術についての要求条件や展開シナリオを示すとともに,それらを実現するための将来無線技術,特にLTE Release 12を含むLTEのさらなる発展に向けた技術トピックについて述べる.特に,将来の高い周波数帯を有効利用するための無線アクセス技術および無線ネットワーク構成の確立が重要課題であり,マクロノート(ワイドエリア)が低い周波数帯でカバレッジやモビリテイを提供し,高く広帯域な周波数帯で小電力ノード(ローカルエリア)が高速なデータ伝送を提供する階層型ネットワーク構成,およびこれらを高効率にサポートするハイブリッド無線アクセス技術が有望であることを述べる.
著者
新 博行 前田 規行 岸山 祥久 佐和橋 衛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.150, pp.61-66, 2002-06-21
被引用文献数
41

本報告では,時間領域の拡散を優先的に用いる2次元拡散を適用した可変拡散率(VSF : Variable Spreading Factor)OFCDM(Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)を提案し,データ変調,チャネル符号化率,拡散率の無線パラメータ,および伝搬条件(遅延スプレッドσ,最大ドップラ周波数f_D)に対して,時間および周波数領域の最適な拡散率を明確化した.シミュレーション結果より,σ<0.37μsecにおいて,QPSKデータ変調にチャネル符号化率R=1/2または3/4のターボ符号化を適用した場合,最大128までの拡散率において,拡散による周波数ダイバーシチ効果が得られるため,周波数領域の拡散を用いた方が所要平均受信E_s/N_O(情報1シンボル当たりの信号電力対背景雑音電力密度比)を低減できることを示した.一方,16QAMデータ変調を用いた場合には,コード間の直交性を保つために,時間領域のみの拡散を用いたVSF-OFCDMが,所要平均受信E_s/N_Oを低減できることを示した.したがって,多値データ変調を用いる適応変復調・チャネル符号化を適用した場合には,総合的に時間領域の拡散を優先的に用いる2次元拡散が適していることを明らかにした.
著者
アナス ベンジャブール 岸山 祥久 石井 啓之 中村 武宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.192, pp.25-30, 2012-08-23
被引用文献数
1

本稿では,3GPP LTD-Advanced(LTE-A)の次のステップとしてLTE-B等とも呼ばれる将来のLTE (Release 12以降)の発展に向けたコンセプトとキー無線アクセス技術について著者らの見解を述べる.スマートフォン等の高機能端末の急激な普及に伴い,今後10年で500倍以上とも予測されるトラヒック量の増大に備えるため,LTA-Aの将来のステップにおいて,引き続き3GPP無線アクセス技術を持続的に発展しつつ,小セル化に伴ってより重要となるローカルエリアの無線アクセスの高度化,および,さらなる広帯域化のため高い周波数帯の有効利用を考慮した新しい技術の導入を考えていく必要がある.従って,提案するコンセプトでは,ローカルエリアとワイドエリアの高度化を統合した無線インタフェースによって,別周波数帯でワイドエリア(カバレッジ確保用のマクロセル)とローカルエリア(高速伝送用のスモールセル)をサポートし,ローカルエリアの高度化と高い周波数帯の有効利用の両立を目指す.さらに,周波数利用効率向上の要素技術(3D/massive MIMO/beamforming,non-orthogonal multiple access, dynamic TDD等)の適用,および,ローカルエリアとワイドエリアの統合に有効なソリューションとして,マクロセルがスモールセルの制御プレーンをアシストするファントムセルを提案し,それを実現するための要素技術(e.g., inter-eNB CA, small cell discovery, flexible duplex support)について述べる.