著者
大藤 義顕 川村 輝雄 樋口 健一 佐和橋 衛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.305, pp.125-130, 2006-10-12
参考文献数
17

シングルキャリア(SC)-FDMAを用いる上りリンクのEvolved UTRAにおいて,広帯域のパイロットチャネルで測定したチャネル品質情報(CQI: Channel Quality Indicator)に基づく周波数領域スケジューリングはスループット増大に有効である.しかしながら,上りリンクのパイロット信号にCAZAC (Constant Amplitude Zero Anto-Correlation)系列などの相関特性の良好な系列を用いた場合には,送信帯域幅の異なるパイロットチャネルをDistributed FDMA多重すると,パイロットチャネルの系列数が減少する問題が生じる.そこで,本稿では,複数の帯域の異なるパイロットチャネルをDistributed FDMA多重した場合の,系列数の減少を最小限に抑えるため,CQI測定用のパイロットチャネルの送信帯域幅に基づいてUEのグループ化を行い,グループ毎に送信帯域を分離して割り当てるCQI測定用パイロットチャネルの送信帯域の割り当て法を提案する.計算機シミュレーションにより,グループ毎にCQI測定用パイロットチャネルの送信帯域を分離することにより,従来のグループ化を行わない場合に比較して,パイロットチャネルの系列数を増大した上で,同程度のセクタスループットを実現しつつ,ユーザスループットの累積分布の5%値を2倍程度に向上できることを示す.
著者
新 博行 前田 規行 岸山 祥久 佐和橋 衛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.150, pp.61-66, 2002-06-21
被引用文献数
41

本報告では,時間領域の拡散を優先的に用いる2次元拡散を適用した可変拡散率(VSF : Variable Spreading Factor)OFCDM(Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)を提案し,データ変調,チャネル符号化率,拡散率の無線パラメータ,および伝搬条件(遅延スプレッドσ,最大ドップラ周波数f_D)に対して,時間および周波数領域の最適な拡散率を明確化した.シミュレーション結果より,σ<0.37μsecにおいて,QPSKデータ変調にチャネル符号化率R=1/2または3/4のターボ符号化を適用した場合,最大128までの拡散率において,拡散による周波数ダイバーシチ効果が得られるため,周波数領域の拡散を用いた方が所要平均受信E_s/N_O(情報1シンボル当たりの信号電力対背景雑音電力密度比)を低減できることを示した.一方,16QAMデータ変調を用いた場合には,コード間の直交性を保つために,時間領域のみの拡散を用いたVSF-OFCDMが,所要平均受信E_s/N_Oを低減できることを示した.したがって,多値データ変調を用いる適応変復調・チャネル符号化を適用した場合には,総合的に時間領域の拡散を優先的に用いる2次元拡散が適していることを明らかにした.
著者
佐和橋 衛
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本課題では,InternationalMobileTelecommunications(IMT)-Advancedの次の世代の移動通信方式への適用を目指したギガビット超のブロードバンド無線パケットアクセスのキーの基盤技術の提案および評価を行った.具体的には,直交周波数分割多重アクセス(OFDMA:OrthogonalFrequencyDivisionMultipleAccess)およびシングルキャリアFDMAを用いる高効率マルチアクセス,無線リソース割り当て制御,制御情報の高効率多重法,高精度チャネル推定,Multiple-InputMultiple-Output(MIMO)チャネル技術の要素技術を提案し,効果を計算機シミュレーションにより明らかにした.
著者
佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.233-239, 1994-05-25
被引用文献数
3

周波数ホッピングは,フェージングによるバースト誤りをランダム化し誤り訂正効果を高める手段として効果的である.本論文では,ディジタル信号処理による周波数変換法を適用して,高速切換えを実現した周波数ホッピング送受信機の構成を述べている.まず,周波数ホッピング変調信号の生成と周波数変換フィルタを用いたホッピング信号の受信についてそれらの原理を述べる.次に,試作した96周波間(12.288MHz帯域幅)をホッピング可能な1.5GHz帯送受信機の構成(128kbit/s,差動符号化π/4シフトQPSK変調,遅延検波)について述べる.送信側(受信側)の周波数切換え時間はそれぞれ2(32)μsであり,約75μsでホッピング信号の周波数変換,検波が行われることを確認している.最後に,フェージング環境下における周波数ホッピングと誤り訂正の適用効果について実験的に評価している.本提案の方法は分周器と位相同期ループで構成される従来の周波数シンセサイザの代わりに固定周波数発振器を用いるので周波数切換えを高速にできるほか,ベースバンド処理を用いているのでLSI化に向いており,無線機の小型,低消費電力化に適している.
著者
佐和橋 衛 山本 尚生 樋口 健一
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本課題では,ピークデータレート1Gbpsを実現する第4世代移動通信方式に位置づけられるInternational Mobile Telecommunications(IMT)-Advancedに向けた高効率無線パケットアクセス技術を提案し,効果を計算機シミュレーションで明らかにした.具体的には,100MHz程度の送信帯域幅を有するLayered OFDMの無線インタフェース,高効率マルチアクセス,無線リソース割り当て制御,制御情報の高効率多重法,高精度チャネル推定,高次マルチアンテナ技術などを提案し,効果を計算機シミュレーションあるいは実験評価により明らかにした.
著者
樋口 健一 大川 耕一 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.13-18, 1999-04-23
被引用文献数
4

W-CDMA基地局間非同期セルラシステムにおける他セル干渉がある場合のスクランブルコードマスクを用いるセルサーチ法について, 2セルを用いる屋外伝送実験によリセルサーチ時間特性を評価をした. 実験の結果, 1セル当たりの通信チャネル数が10で, BS1およびBS2の通信チャネルの受信平均玩E_0/N_0=13dB (平均SIR<lt6;13dB), とまり木チャネルの1通信チヤネルに対する送信電力比が3dB,およぴBS1とBS2のとまり木チャネルの受信電力比S_<BS1>/S_<BS2>=0dBの場合, 走行時 (平均時速30km/h) において90%の確率で約480msec内のセルサーチを完了できることがわかつた. また, 本実験結果を基に, スクランブルコード数が512で3段階セルサーチ法を用いた場合, 90%の確率でセルサーチか約650msec程度で完了できることがわかった.
著者
新 博行 安部田 貞行 佐和橋 衛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.435, pp.57-62, 2000-11-10
被引用文献数
7

本稿では50-100MHz程度の無線帯域幅で, 多値変調(8PSK, 16QAM), ハイブリッドARQ, およびコード多重を用いて, マルチキャリア(MC)-CDMAに基づいたTD-OFCDM(Time Division-Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing, 512サブキャリア, サブキャリア間隔156.25kHz)により, 最大情報伝送速度100Mbps以上を実現する下りリングブロードバンド高速パケット伝送の提案を行う.シミュレーション結果より, コード多重数が拡散率に近い条件では, コードチャネル間の直交性が周波数選択性フェ-ジングにより崩れる影響で, 多値変調を用いる場合あるいは誤り訂正符号の符号化率を大きくした場合に, スループット特性が劣化することを明らかにした.16コード多重(拡散率16), 8PSKおよび符号化率R=2/3の畳み込み符号化を用いると, 3パスのレイリーフェージング環境下(遅延スプレッドσ=102.1nsec)で平均受信E_b/N_0が約24dB以上の場合に, 約105Mbpsの情報伝送速度を実現できることを示した.さらに, 24パスのレイリーフェージング環境下(σ=205.6nsec)においても, QPSKおよび符号化率R=4/5あるいは8PSKおよびR=1/2の畳み込み符号化を用いると, 平均受信E_b/N_0が約20dB以上の領域で約85Mbpsの情報伝送速度を実現できることを示した.
著者
福元 暁 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.31-36, 1999-04-23
被引用文献数
22

基地局から複数アンテナを用いて同一信号を送信する送信ダイバーシチは移動局受信機を複雑化することなく受信特性を改善できる. W-CDMA下りリンク用送信ダイバーシチには, 予め決められた順序パターンで複数アンテナから送信するPre-determine (PD) 型と, 移動局から送信されるAntenna Selection (AS) コマンドに基づいて送信アンテナを選択するFeedback (FB) 型とがある. PD型としてTime switched transmit diversity (TSTD)法, Orthogonal transmit diversity (OTD)法, Space time transmit diversity (STTD)法, FB型としてSelection transmit diversity (STD)法が提案されている. 本稿ではTSTD, OTD, STTD, STDによる下りリンク伝送特性を計算機シミュレーションにより比較検討している. その結果, TPCありの場合には送信ダイバーシチによる特性改善は小さいもののTPCなしの場合には平均BER=10^<-3>を満たす所要送信E_b/N_0を1-3.5dB程度改善できること, また, 低速フェージング領域ではFB型を, 高速フェージング領域ではPD型 (TPCなし) または送信ダイバーシチなし (TPCあり) を組み合わせて用いることが望ましいことが明らかになった.
著者
大川 耕一 安藤 英浩 福元 暁 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.25-29, 1999-04-23
被引用文献数
1

W-CDMA 5fMHz帯域における3マルチコード多重による2-Mbps伝送特性をハードウェアフェージングシミュレータを用いる室内実験により測定した. SF=4と小さいためにパス数か増大するにつれてマルチパス干渉で特性が劣化するものの, マルチパス数が2の時に2ブランチアンテナダイバーシチ, 2フィンガ/アンテナRake受信を用いることにより所要E_b/N_0=約8dBで平均BER=10^<-6>以下を実現できることを示した.
著者
佐和橋 衛 安藤 英浩 樋口 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.96, no.354, pp.9-16, 1996-11-14

DS-CDMA方式において干渉信号を低減するため, パイロットシンボルを用いて各ステージ毎にチャネル推定値を逐次的に更新するコヒーレントマルチステージ干渉キャンセラ(PSA-COMSIC)を先に提案した. 本報告では, 容量をさらに増大するためにパイロット及びデータシンボルを用いる高精度チャネル推定法を提案し, このチャネル推定法を適用したPSA-COMSICの特性について評価する. 誤り訂正符号化を用いた場合には, 干渉が支配的な領域における本提案の高精度チャネル推定を用いるPSA-COMSICの容量はマッチトフィルタ受信に比較して約1.6倍に増大することができ, 拡散率の約80%の容量を実現することができることを明らかにする. また, 干渉除去重み制御を用いたシリアル/パラレルハイブリッド構成及び非線形/線形ハイブリッド構成を提案し, 基本型のシリアル構成とほぼ同等の容量を実現することができ, これらの構成により復調処理遅延を大幅に低減することができることを示す.