著者
西山 正彦 吉田 和弘 頼島 敬 田中 卓 峠 哲哉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.1942-1947, 1992-07-01
被引用文献数
12

80歳以上の高齢者胃癌手術症例52例について合併症,とくに精神障害との関連を検討した.精神障害を含む術後合併症の発生率は術式と密接に関連しており,幽門側胃亜全摘:31%(11/35人),胃全摘:67%(8/12),下部食道胃噴門側亜全摘:100%(3/3),下部食道胃全摘および食道抜去胃全摘:100%(1/1)となった.せん妄は術後最も発生頻度の高い合併症であった(14/52:27%).その発症率と平均発現期間は,幽門側胃亜全摘:32%(8/25),4.5日,胃全摘:43%(3/7),7.0日,下部食道胃噴門側亜全摘:100%(3/3),10.0日であった.また胃幽門側亜全摘術後には老年期痴呆の改善が認められたが,胃全摘術後には西村式評価で39.9から33.0(p<0.05,t検定)と日常生活動作の低下が認められた.器質的,精神的障害両面への影響からみると,幽門側亜全摘術では良好な経過が期待できるが,それ以上の侵襲を有する手術では周到な周術期管理が必要と考えられた.
著者
平井 敏弘 山下 芳典 吉田 和弘 香川 佳寛 桧原 淳 井上 秀樹 峠 哲哉
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.83-87, 2002-04-10
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
万代 光一 平井 敏弘 三好 雪久 大田垣 純 山下 芳典 向田 秀則 峠 哲哉 新本 稔 服部 孝雄
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.11, pp.2501-2507, 1987-11-01
被引用文献数
3

目的:食道癌の併存病変について,臨床病理学的検討を行い.その実態を明らかにすることを試みた.方法:過去10年間に切除され,十分な組織学的検討が可能であった食道癌症例88例を対象とした.切除食道の全体にわたり階段状組織切片を作製し,併存病変の発生頻度を検討した.併存病変はdysplasia,多発癌,壁内転移,上皮内伸展に大別した.さらに,dysplasiaをmild,moderate,severeの3段階にgradingを行った.結果:多発癌の頻度は13.6%,severe dysplasiaも含めた悪性異型病巣の出現頻度は21.6%であった.食道癌の多発異型病変の頻度は高く食道癌の多中心性発生の可能性を支持しえた.