- 著者
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田中 和夫
島地 英夫
- 出版者
- Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
- 雑誌
- 生物環境調節 (ISSN:05824087)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.2, pp.59-64, 1992-06-30 (Released:2010-06-22)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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トマトの大量苗生産に必要な高密度苗生産技術の一つとして接触刺激の利用を検討した.1) 作動時刻, 走行速度および高さを任意に変えることができる自動走行式の接触刺激装置を作成した.この装置を用い, トマト苗の生長部に30分に1往復の頻度で, 走行速度は10m/minに設定して接触刺激を行った.2) トマト苗の生長部への接触刺激を行うことにより, 徒長防止だけでなく, 主茎長を中心とした生育の均一化や乾物率の上昇による苗質向上の効果が認められた.なお, 接触刺激によるトマト苗の乾物生産能力の低下はほとんどなく, また花芽の発育にも悪い影響を認めなかった.3) 接触刺激を利用することで, トマトの苗生産は最大栽植密度を展開葉数が4~5枚までの場合で約1, 000株/m2, 展開葉数が6~7枚までの場合で約400株/m2まで高めることが可能と考えられた.4) 生育初期から生育速度に個体間差の大きいトマト培養苗の成苗化過程において, 生育の均一性を高める顕著な効果が接触刺激により得られた.