著者
榎本 雅夫 清水(肖) 金忠 島津 伸一郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1394-1399, 2006-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
21
被引用文献数
3

【背景】最近,乳酸菌の抗アレルギー作用への興味が高まりつつある.しかし,日々のヨーグルトや乳酸菌飲料の摂取によるアレルギーの発症の抑制についての報告はほとんどない.【方法】和歌山県下の中学1年生を対象に,ヨーグルトや乳酸菌飲料,納豆の摂食習慣と血清総IgE値,特異的IgE抗体量,各種アレルギー疾患の有無について調査を実施し,得られた134人の回答について解析を行った.【結果】ヨーグルトや乳酸菌飲料の摂取歴のあるものでは,血清総IgE値が有意に低値で,アレルギー疾患の有病率も有意に少なかった.しかし,納豆の摂取の有無では,これらの関係は認められなかった.【結論】アレルギー疾患の発症に乳酸菌などの腸内細菌が深く関与していることを裏付ける疫学調査の興味ある結果であった.今後,症例を増やして検討する価値のある治験であろうと考えている.
著者
島津 伸一郎 榎本 雅夫 白川 太郎
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.85-88, 2000-02-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
9

Th1反応とTh2反応は相拮抗して成り立っていて, アレルギー疾患ではTh2優位になっており. アトピー疾患のより根本的な治療法としてTh1反応を誘導しTh2反応を抑制することが考えられている. 我々は一般小児集団においてツ反とアトピーに関する疫学調査を行い, ツ反陽性者ではTh1優位となっていてアトピー疾患の罹患率は有意に低く, またッ反陽転することによってアトピー疾患が有意に高い寛解率を示すことを証明した. またHopkinらは花粉症患者にSRL172を投与して喘息症状の改善を得ている. またほかの動物実験研究ではBCGの投与によってTh2反応が抑制されることが証明されている. これらの結果は結核菌などの細菌菌体成分がアトピー疾患の治療と予防に有効な手段となりうることを示している.