著者
加藤 孝久 崔 ジュン豪 野坂 正隆 熊谷 知久 田浦 裕生 田中 健太郎 川口 雅弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではDLC膜中にさまざまな元素を添加することで,DLC膜の構造・物性の制御を行った.また,構造制御により得られたDLC膜の機械的特性,物理的特性,吸着特性を明らかにした.DLC膜の作成は,プラズマCVD法,イオン化蒸着法,プラズマ利用イオン注入・成膜法などさまざまな手法と成膜因子を用いて行った.実験で作成したDLC膜の表面・バルク構造・機械的特性は,分子シミュレーションを用いて得られた結果と定性的によく一致することを示した.
著者
崔 ジュン豪 中尾 節男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではSi-DLC膜の表面に酸素プラズマ処理を施すことで超低摩擦および高硬度を兼ね備えた膜を開発し,その摩擦摩耗機構の検討を行った.シリコン含有量の増加とともにSi-DLC膜の摩擦係数と硬さはともに減少する.酸素プラズマ処理によりSi-DLC膜の膜全体の硬度は維持したまま,摩擦係数は0.02まで低減できる.酸素プラズマ処理により,シリコン酸化物,カーボンで構成される移着膜を増やすことができ,これにより低摩擦化が実現できる.グラファイト化が進んだカーボンの移着は,Si-DLC膜の低摩擦の一つの原因である.以上の結果から酸素プラズマ処理は,Si-DLC膜の低摩擦化,シリコン添加による硬度減少の防止に有効であると考える.