著者
崔 星華
出版者
東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系社会文化環境学専攻
巻号頁・発行日
2012-09-27

報告番号: ; 学位授与年月日: 2012-09-27 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第4534号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科環境学研究系社会文化環境学専攻
著者
崔 星 大西 和彦 藤森 亮 平川 博一 山田 滋 古澤 佳也 岡安 隆一
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.177, 2010

食生活の欧米化に伴い、日本を含むアジア諸国では大腸癌が急増している。本研究は、大腸癌細胞株HCT116、 SW480を用い、放射線抵抗性や薬剤耐性と強く関与するとされる癌幹細胞を分離・同定し、これら癌幹細胞に対して、炭素線或いはX 線照射前後のコロニー形成能、spheroid形成能、DNA損傷の違いを調べ、またSCIDマウスに移植し、腫瘍形成能、移植腫瘍に対する増殖抑制や治癒率の違いについて比較検討した。HCT116、 SW480細胞においてCD133+、CD44+/ESA+細胞はCD133-、CD44-/ESA-細胞に比べ有意にコロニー形成数が多くやDNA損傷マーカーgammaH2AX fociは少ないが、 spheroid形成はCD133+、CD44+/ESA+細胞のみに認められた。CD133+、CD44+/ESA+細胞は、X 線或いは炭素線照射に対しともに抵抗性を示すが、炭素線はより強い細胞殺傷能力が認められた。またCD133+、CD44+/ESA+細胞はCD133-、CD44-/ESA-細胞に比べ有意な腫瘍形成能を示し、炭素線はX線照射に比べより強い腫瘍増殖抑制や高い治癒率が認められた。以上より、大腸癌細胞において、CD133+、CD44+、ESA+細胞は明らかに自己複製や放射線抵抗性を示しており、炭素線はX線照射に比べより強く癌幹細胞を殺傷することが示唆された。
著者
崔 星 大西 和彦 山田 滋 鎌田 正
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.156, 2011

肝細胞癌は世界で最も罹患数が多い悪性腫瘍の一つで、日本では増加傾向であり、年間死亡数は3.4万人とがん死亡では3位である。放医研では今まで300例近い重粒子線による肝癌治療を行っており、良好な治療成績が得られている。本研究は、肝癌細胞株Huh7、HepG2を用い、放射線抵抗性や薬剤耐性と強く関与するとされる癌幹細胞を分離・同定し、これら癌幹細胞に対して、炭素線或いはX線照射前後のコロニー形成能、spheroid形成能、DNA損傷の違いを調べ、またSCIDマウスに移植し、腫瘍形成能の違いについて比較検討した。Huh7、HepG2細胞においてCD133+/CD90+はそれぞれ6.4%と0.6%、CD44+/ESA+細胞は1.5%と0.2%であった。CD133+/CD90+、CD44+/ESA+細胞はCD133-/CD90-、CD44-/ESA-細胞に比べ有意にコロニー形成数が多く、spheroid形成や腫瘍形成はCD133+/CD90+、CD44+/ESA+細胞のみに認められた。CD133+/CD90+、CD44+/ESA+細胞は、X線、炭素線照射に対しともに抵抗性を示すが、炭素線はより強い細胞殺傷能力が認められた。炭素線はX線照射に比べより強い腫瘍増殖抑制や高い治癒率が認められた。以上より、肝癌細胞において、CD133+/CD90+、CD44+/ESA+細胞は明らかに自己複製や放射線抵抗性を示しており、炭素線はX線照射に比べより強く肝癌幹細胞を殺傷することが示唆された。