著者
嶋田 格 松井 宏 澤田 真希 高石 雅之 藤田 郁尚
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.15, no.9, pp.415-421, 2015 (Released:2018-02-01)
参考文献数
11

清涼化粧料には,清涼成分としてℓ-メントールが汎用されている。しかしながら,ℓ-メントールは,適度であれば快適な清涼感を付与する一方で,多すぎると灼熱感,ヒリヒリ感といった不快刺激を感じることが知られている。そこで,我々は,快適な清涼感を与える濃度範囲を確認するために,頚部を用いた清涼感評価方法を確立し,ℓ-メントールに対する感度が高いクールスティンガーを選定した。これにより,男女によるℓ-メントールの感受性の違いや,発汗時の清涼感の感じ方の違いを明らかにした。また,TRPチャネルに着目した評価方法を用いることで,ℓ-メントールによる不快刺激を1,8- シネオールが抑制することを発見した。
著者
久原 丈司 笠原 啓二 嶋田 格 松井 宏
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.33-40, 2017 (Released:2017-03-22)
参考文献数
8

デオドラント剤の防臭効果の持続性向上(ロングラスティング化)を目的として,臭いの原因となる皮膚常在菌の繁殖を抑えるために,デオドラント剤に配合されている殺菌剤4-イソプロピル-3-メチルフェノール(IPMP)と2,4,4′-トリクロロ-2′-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)について,腋窩上での経時残存性を評価した結果,トリクロサンはIPMPよりも有意に経時残存性が高いことが示唆された。次に,殺菌剤の腋窩上での経時的な減少要因の解明として,殺菌剤の揮発性,皮膚内部への浸透性,皮膚表面での拡散性,衣服への移行性を評価した結果,皮膚内部への浸透および衣服への移行が主要因であることが示唆された。また,殺菌剤の腋窩での残存性を高める成分(デオドラントキーパー)の探索を行った結果,デオドラントキーパーの要件としては,皮膚内部への浸透を抑えるため分子量が大きいこと,耐水性が高い必要があるためオクタノール/水分配係数(Log P)が大きいこと,殺菌剤との親和性(結合性)が高いことが必要であり,今回評価したIPMPのデオドラントキーパーとしては,分極部位を有しIPMPと水素結合等の双極子相互作用を起こしやすい構造であることが,残存性向上に有利に働くことが見出された。