著者
田内 亮吏 川上 紀明 小原 徹哉 齊藤 敏樹 馬場 聡史 森下 和明 山内 一平
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.1285-1290, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
9

側弯症矯正手術後におけるインプラント抜去に関する報告は散見されるが,主にフックを使用した症例の報告であり,近年のペディクルスクリューを主体とした矯正術後のインプラント抜去に関するまとまった報告はない.今回,特発性側弯症に対するインプラント抜去の手術成績およびアライメント変化の評価を行った.2005年から2018年までに抜釘術を施行した126例について手術成績を評価,術後2年以上経過しえた53例について冠状面および矢状面アライメントを評価した.合併症発生率は約11.9%で,1例に術中骨折,3例に術後骨折が発生した.抜釘術後の主カーブCobb角の矯正損失平均2.8度で,胸椎後弯角の増加は平均6.6度であった.頚椎前弯,T1 slope角,SVAも有意に変化していた.10度以上の主カーブCobb角の増加症例が3.8%に対し,胸椎後弯の増加は18.9%と,抜釘術は矢状面アライメントにより影響していたことが示唆された.こうした結果を踏まえ,本人および家族に抜釘術の問題点などを十分に説明した後に抜釘術を考慮する必要がある.
著者
川上 紀明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.24-29, 2018-01-18 (Released:2018-02-22)
参考文献数
15

1979年より運動器の中で唯一行われてきた側弯検診は,2016年より運動器検診の中に含まれて再出発した.側弯症は3次元的な脊柱変形(脊柱のねじれ)であるが,姿勢によるものと誤解されやすい.前屈テストで5° が指標となるが,これらの学校検診での事後措置には十分な配慮が必要である.側弯の発生原因の研究では多くの報告がされているが,いまだ原因は解明されていない.その自然経過は個々の症例により大変差があり,悪化しないものから高度に悪化し,生命にも影響を与えるものまでさまざまである.運動器検診による早期発見で運動療法,装具療法,手術療法など適切な治療法が選択でき,成人になって生じる問題点を少なくすることが可能となる.