著者
川北 敬美 細田 泰子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.196-203, 2022 (Released:2022-10-15)
参考文献数
26

目的:子育て期にある女性看護師(以下,子育て期看護師)におけるワーク・ファミリー・エンリッチメントの資源を明らかにする.方法:日本病院機能評価機構の認定病院に勤める未就学児を養育する女性看護師16名に半構成インタビューを実施し,質的記述的に分析をした.結果:子育て期看護師の仕事役割から得られる資源は,【ケア能力】【指導力】【効率性】【充実した感情】【社会性育成の環境】【経済的な安定】であり,家族役割から得られる資源は,【共感力】【受容力】【視野の広がり】【調整力】【ヘルプシーキング行動】【充実した感情】であった.結論:すべての子育て期看護師は,実感の差はあるものの,仕事の経験が家族役割に,母親等家族役割の経験が仕事役割の質を向上させる資源を獲得していた.それぞれの役割で得られる資源は,相互に影響し合っており,一つの資源を得ることが他の資源獲得のトリガーになることが示唆された.
著者
原 明子 川北 敬美 四谷 淳子 道重 文子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.133-138, 2019

 本研究の目的は, 被採血時に失敗された経験の有無に分け, 血管の深さと血管断面積との関係, 目視可否について明らかにすることである. 20歳以上の女子学生10名20肢を対象に, 被採血時の失敗経験無し群と被採血時の失敗経験有り群に分け両上肢の駆血前後の皮膚表面から血管までの距離, 血管径, 血管断面積, 目視による血管確認を行った.その結果, 皮膚表面から血管までの距離が2.1mm未満, 血管断面積が10.2mm²以上の血管をもつ上肢では, 被採血時の失敗経験無し群は20肢中12肢,被採血時の失敗経験有り群は20肢中1肢であった. これに対し, 皮膚表面から血管までの距離が2.1mm以上, 血管断面積が10.2mm²未満の血管をもつ上肢では, 被採血時の失敗経験無し群は20肢中1肢, 被採血時の失敗経験有り群は20肢中12肢であった. 被採血時の失敗経験有り群は, 皮膚表面から血管の深さは深く, 血管断面積も小さい割合が多いこと, また, 目視による可視化ができない割合も高いことから, 血管の選定が難しいと考えられ, 採血が失敗される要因であることが示唆された.