著者
大沼 克彦 久米 正吾 濱田 英作 岡田 保良 宮田 佳樹 川又 正智 佐藤 宏之 早川 裕弌
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

4年にわたるキルギス現地調査と国内関連研究は、キルギスにおける紀元前12000年から1500年(中石器時代から後期青銅器時代)にかけた遊牧社会形成の実体の解明に向けて大きく前進した。発掘をおこなったすべての遺跡において、中石器層から青銅器時代層のあいだには1万年ほどの空白があり、連続性がないことは、中央アジアの遊牧社会の形成に関する、西方からの遊牧民移住、在地農牧民の専従遊牧民化という2つのシナリオのうちの前者がより妥当であることを提起する重要な成果である。今後は調査・研究をキルギス周辺地域に拡大し、中央アジア全体という巨視的観点で遊牧社会形成の経緯と地理的多様性を探求していく。