著者
大沼 克彦 久米 正吾 濱田 英作 岡田 保良 宮田 佳樹 川又 正智 佐藤 宏之 早川 裕弌
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

4年にわたるキルギス現地調査と国内関連研究は、キルギスにおける紀元前12000年から1500年(中石器時代から後期青銅器時代)にかけた遊牧社会形成の実体の解明に向けて大きく前進した。発掘をおこなったすべての遺跡において、中石器層から青銅器時代層のあいだには1万年ほどの空白があり、連続性がないことは、中央アジアの遊牧社会の形成に関する、西方からの遊牧民移住、在地農牧民の専従遊牧民化という2つのシナリオのうちの前者がより妥当であることを提起する重要な成果である。今後は調査・研究をキルギス周辺地域に拡大し、中央アジア全体という巨視的観点で遊牧社会形成の経緯と地理的多様性を探求していく。
著者
岡田 保良
出版者
国士舘大学21世紀アジア学会
雑誌
21世紀アジア学研究 = Bulletin of Asian Studies (ISSN:21863709)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.129-151, 2022-03-15

世界遺産条約が提起する最上位の目論みは、多くの日本人が期待するような町起こしや観光資源化にあるのではなく、現状を放置すれば失いかねない自然と文化の価値を国際社会が協力連携して救済しよう、というものである。同時に、一群の登録された遺産やその候補遺産からもたらされる情報は、各国あるいは地域に固有の歴史や文化がどれほど多様かという状況を、最もコンパクトな形で私たちに知らしめてくれる。そうした観点から、西アジア地域に焦点を当てて今日の世界遺産事情を俯瞰する。